おもちゃは、子どもにとって一番身近なもの。
いつも近くにあり、色々なことを伝え教え、想像力を育んでくれるものです。
教育という観点から、いったいおもちゃには何が求められているのでしょうか?
例えば私どもの扱う「音の出ない木の電話機」。プッシュボタンを押しても音も声も出ません。大人たちは音の出ない木の電話機を見て‘これじゃつまらなそう’とよく言いますが、本当はその逆です。
音の出る電話では、ボタンを押すと呼び出し音やキャラクターの声、音楽が流れたりするので、子どもはもともと内蔵されている音を聞いて音が出ることを楽しんだり、プッシュボタンをあれこれ押したりして、何かが起こることを待つ遊びをします。
反対に、音の出ない電話機では「あのね、このあいだおじいちゃんがね、このあいだね・・・」と、能動的に自由にストーリーを組み立てて話をする姿がよく見られたり、プッシュボタンを押すこと自体に遊びを見出し、架空の番号を当てはめてみたり、大きくなると自分の家の番号を押してみたりして遊びます。
後者の電話のおもちゃの方が、想像の世界が広く、自由度が高く、学びが多いことが想像いただけますでしょうか?
また、坂道を木の車がくねくね下がってゆくおもちゃがありますが、子ども達はくり返しくり返し楽しみます。なぜこんなに同じ遊びに夢中になれるのか?その姿が大人には不思議に映ることもありますが、その中から多くのことを学び感じている瞬間です。同時に「追視」という身体機能のトレーニングにもつながっていることもありますので、ますますおもちゃの選び方が大切だということを痛感します。
おもちゃに求められるもの。それは、心身を健全に育む役割を担えることです。
親も多忙な現代社会だからこそ、子どもの心を豊かに育むことができる「おもちゃ選び」の重要性が増しているように感じます。
投稿者 Kosodate : 14:48 | コメント (0) | トラックバック (0)
戦後、日本のおもちゃ産業は急速に発展しました。それまで主流だった、めんこやけん玉、おままごと道具やお人形、びーだま、おはじき、ベーゴマなどに代わり、海外製のピストル型おもちゃやヨーヨーといった輸入おもちゃも増え、日本国内でも化学製品を使ったおもちゃの開発が進みました。ビニールおもちゃのだっこちゃんは大人にも流行り、野球の盤ゲームや、実際に電気で調理ができるおもちゃは子ども達を魅了しました。
今も昔もおもちゃは子どもに、実際にできたらいいなという「夢」を与えてくれたり、あんなふうにすることができたらといった「あこがれ」を実現したりする、‘心を育てる役割’を担っています。
現在の日本のおもちゃの特徴をみてみると、1つ目に「キャラクターのおもちゃが市場にあふれていること」、2つ目に「電子ゲームの種類が驚異的に多いこと」、3つ目に「ロングセラーのおもちゃが少ないこと」が挙げられます。
キャラクターのおもちゃに関しては、テレビに連動しているものから、していないものまで幅広く、海外へも輸出され、日本はアニメーション天国として有名にもなっていますよね。電子ゲームも、40年ほど前のインベーダーゲームの登場を経て、日本の高度技術をふんだんに取り入れ、他国に類を見ないほど多種多様に機器もソフトも発達しました。ロングセラーが少ないことは、1つ目や2つ目の特徴からの影響もあり、おもちゃの販売されている期間がとても短く、3か月前のおもちゃを探すのが困難なこともあるほどです。
多く売られているおもちゃの中から、子どもたちの心を育てる役割を担うものを選んであげるには、大人たちがもう少し、おもちゃに対して学ぶ必要がありそうですね。
次回は、具体的におもちゃの担う役割について、実例を含めてお伝えしたいと思います。
投稿者 Kosodate : 10:04 | コメント (0) | トラックバック (0)
日曜日の朝、子ども達がテレビを見て静かにしてくれることは、きっと多くの大人にとってありがたいことですよね。
「もっと離れて見なさい〜」と目が悪くなることを心配する声が聞こえてきそうですが、視力の問題以外にもおもちゃの観点からも、テレビで見るときに知っておきたいことがあります。
実は日本の子ども向け番組は、原作者、アニメーション会社、出版社、広告代理店、メーカー、問屋〜販売店などが一体となり、沢山おもちゃを売るために作られている場合が多いのです。さらに、番組内の変身グッズをいかに子どもに欲しがらせ、いかに買って貰えるかを重視しているところもあります。
クリスマスに高額のおもちゃを買ったのに、番組が新番組へと変わっていまい、見向きもしなくなった、という経験はありませんか?
一方海外のおもちゃは、「子どもには最良のものこそふさわしい(ドイツ、A社)」「子どもにこそ本物の良さを伝える(ドイツ、B社)」「遊びをみて、ふさわしい製品を開発するする(アメリカ 、C社)」と、子どもがおもちゃから受けるよりよい成長への影響が重視されています。
沢山売りたい日本製のおもちゃ、子どもへの影響を考慮した海外のおもちゃ、色々な性質のおもちゃがあります。是非おもちゃ選びの際の参考にしてみてくださいね。
投稿者 Kosodate : 11:15 | コメント (0) | トラックバック (0)
はじめまして、土屋よしこと申します。
沖縄から「こどもとおもちゃの話」をさせていただきますね。「こどもとおもちゃの話」ってどんな話?と思われる方も多いのではないでしょうか?
沖縄からといっても私の沖縄生活はまだ7年。それまでは東京のおもちゃメーカーで商品開発や市場開拓・ブランディング(※)などの仕事をしていました。こどもの多い沖縄で3年前から「3歳までに良いおもちゃを、10歳までに遊ぶ力を」をモットーに、良い遊びを体験できるキッズスペースや木のおもちゃの普及活動をしてきました。足かけ20年以上「こどもとおもちゃの関わり方」を見てきたことになり・・・おもちゃメーカーの仕事に携わっていたがゆえ、息子が生まれた時に直面した「安心して与えたいおもちゃがない」という違和感から、今に至ります。
ちまたにあふれる日本製メーカー製のおもちゃの大半は、テレビやキャラクターに連動した「キッズビジネス」と言われる‘流行(はや)りを作って販売する市場主義から生まれたもの’がほとんど。
こども向けのテレビでキャラクターが持っている武器や道具。それが番組途中のコマーシャルでおもちゃとして宣伝され「お近くの○○で売っています!」と案内されるので、それではこども達、欲しがりますよね。(笑)
こども達はキラキラした目をしてなんでも吸収していきます。そのこども達が遊ぶおもちゃとして、ふさわしいおもちゃとはどんなものか?私のお伝えすることが、物と情報があふれる時代のおもちゃ選びのヒントになったら嬉しいです。
(※)ブランディング・・・ブランドに対する共感や信頼など、顧客にとっての価値を高めていく企業と組織のマーケティング戦略の1つ
投稿者 Kosodate : 09:30 | コメント (0) | トラックバック (0)
「『つかむ』を育てる」と言われてピンと来られる方は少ないと思います。
泥団子を丸めたり、木登りや雑巾絞りなど様々な「つかむ力」は、かしこい
体と器用な手に深い関係があります。
最近、小学校低学年では2B〜4Bの鉛筆を持ってくるように指示される
そうです。Bの数字が多いほうが柔らかく濃くなりますので、強く押し付け
なくとも字が書けるということになります。
子どもが持つ鉛筆の筆圧が弱くなり、字が薄く見えにくくなっているから
だそうです。
筆者が子どものころ(50年前)はHBの鉛筆が定番で、2B鉛筆はスケ
ッチなどをするときなどに使う特別な鉛筆でした。
また、各種の調査では今の子どもたちは不器用になっており、
箸が上手に持てない
鉛筆が削れない
果物の皮がむけない
紐が結べない
などと報告されています。
生活スタイルが変わり、削ったり、むいたり、結んだりする必要性が少
なくなり、道具が便利になり使う経験や機会が減ったということがある
かもしれません。
一般に、器用さを示すのは親指、人差し指、中指の3本を使っての
「つまむ」作業ですが、実は“パワーグリップ”と言われる薬指と小指の
力強い「つまむ」力に支えられる能力なのです。
子どもたちは薬指と小指の力を使う遊びをしているでしょうか。
体は使わなければ強くならないように、薬指や小指も使わなければ
強くなりません。遊びの中で様々な「つかむ力」を使う遊びや料理、
掃除、力仕事の手伝いなどをする中で、力強く器用な手を育て、
「かしこい体」を育てることになるのです。
投稿者 Kosodate : 11:06 | コメント (0) | トラックバック (0)
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