新しい年度が始まりました!
みなさんのお子さんも、進学、進級され新しい生活がスタートしているのではないでしょうか?
新生活と同時にケータイを使うようになったお子さんも多いでしょう。
■ケータイトラブルは起きるもの
<ケータイを持たせたからには、必ずトラブルは起きる!>
保護者としては、この覚悟だけは必ずしておいてください。
トラブルの渦中にあるときは大変ですが、乗り越えていくことで子も親も大きく成長します。
かといってトラブルに対して無防備だと、取り返しがつかないほど深刻で重大なダメージを受けてしまうのがケータイ・ネットという道具です。くれぐれも甘く見てはいけません。
「必ず起きるもの」と覚悟を決めて準備をしておくことが、トラブルを乗り切る力になります。
■持たせ始めに起きるトラブル
1)ケータイ依存
ルールを決めていても、ついついはまり込んでしまい、依存に近づいてしまう道具です。
本人が気をつけていても止められないから依存なのです。ルールが守られるように家族が気をつけておかねばなりません。
2)いじめ・誹謗中傷
ネットいじめのピークは、高校1年生の5月〜6月だと言われています。
人間関係が大きく変わり、ケータイの所持率が100%に近づくからです。
それ以外の学年、時期でももちろんネットいじめは起きます。
ネットいじめ対策には、「ケータイの見守り」が有効です。
3)過大な使用料
料金制限をかけていなかったために、通信料だけで10万円以上の請求が来たという話は後を絶ちません。1ヶ月で100万を越える通信料を支払ったケースもあります。
ルールで使用料の上限金額を決め、指定金額を越えたら使用できなくなる料金制限をケータイショップで申し込みましょう。
4)個人情報の取り扱い
サイトが公共の場であるという意識がほとんど無い子もいて、無防備に個人情報をさらしています。特定の相手に送っているつもりのメールも、いくらでも転送、転載できますので十分注意が必要です。人に見せられない写真や文書が漏洩している場合、ほとんどメールが情報源です。
懸賞、占いなどのサイトは、個人情報の流出拠点と考えましょう。
5)迷惑メール、チェーンメール、ワンクリック詐欺
これらは「無視」が基本対策です。「不要な場合はここをクリック」といったことも絶対にしてはいけません。迷惑メールは一度届き始めると、どんどん増加します。対応策はアドレス変更するか、メールを使用しないようにすることです。
■大切なのは「話し合える関係」
トラブルが起きたとき、すぐに子どもが保護者に相談してくれれば、深刻な事態にならずに対応できます。しかし、トラブルを起こすとケータイを取り上げられるといった罰を恐れて、自分で対処しようとする傾向があります。これが問題を深刻化させます。
トラブルが起きたときこそ「良く言ってくれた」とほめ、やさしく微笑んで安心させ、「一緒に問題解決しよう!」と子どもを守る姿勢を示しましょう。
問題が解決した後に、「再発防止」「リスク回避」をテーマに親子で話し合い、使用停止や新たなルール決めを行いましょう。
■「ケータイの見守り」が有効な防御策
お子さんの同意の上で、メールチェック、サイトチェックをすることを「ケータイの見守り」と呼んでいます。フィルタリングで有害サイトの対策はできますが、前述のような問題に備えるには、見守りが有効な対応策となります。特に、持たせ始めはメールの送受信の内容、サイトの書き込みの内容までチェックするべきです。
メールやサイトは、それほど危険な道具だと考えてください。
大人に知られず、1日に100回、同時に50人に情報を送りつけられる道具は、メール、サイトだけなのです。
この情報発信能力がネットいじめの原動力になっています。
ところが保護者が見守りしているケータイが、クラスに数台あるだけで、ネットいじめは極端にやりにくくなります。どこで保護者にいじめの情報が漏れるか分からないからです。クラスに数組の問題意識の高い親子がいるだけで、自分自身はもちろん、クラス全体を守ることができます。
ケータイは無防備に持たせるには強力すぎる道具です。
しかし、その予防策、対応策はシンプルで技術と関係ないところにあります。
基本は親子の信頼関係と対話による問題解決です。
古野 陽一
投稿者 Kosodate : 09:15 | コメント (2) | トラックバック
■いよいよ持たせるとき
決して入学や試験の成績の「ごほうび」にしてはいけません。
体や心の成長に悪影響があることを覚悟の上で「必要だから持たせる」ものにしてください。
どんなトラブルが起きても子どもを守る!という親としての覚悟は十分決まりましたか?
前回の関門6で依存にならないための対策、関門7でトラブルや犯罪被害から身を守るルールを子どもから提案されているはずです。提案されたルールを点検してみましょう。
■前提条件
1)ケータイの所有権は親が持つ。子どもは借りて使うもの。
2)ケータイ費用は全額親が支払う
3)使用目的が連絡のみならメール・ネット契約しない
メールだけで依存、いじめ、出会い系、アダルトなどケータイの厄介ごとがやってきます。
どんなケータイでも通話専用にできます。
携帯会社に「メールもネットもいりません」と言ってください。
■依存にならないために必須のルール
1)使用時間数の制限
1日○時間以内と決めてください。2時間以内が目標です。
・2時間以上の使用者では依存傾向が強くなる
・5時間以上の使用者では相当に強い依存傾向が出てくる
このようなことが調査で分かってきています。
2)使用時間帯の制限
○時〜○時と決めてください。22時以降は使わないことが原則です。
深夜の利用者は、依存、犯罪の被害、加害の確率が高くなります。
3)使用しないときは親に返す
使用時間帯以外は、親に返してもらうのが原則です。
4)メール・サイトのチェック
定期的、抜き打ちにメールおよび見ているサイトのチェックを行います。
サイトチェックは、親子でいっしょにケータイを見て、対話しながらチェックします。
メールの内容は大丈夫と確信が持てるようになったら、見ないようにルールを変更してよいでしょう。その場合も、誰にメールを送っているかだけはチェックするようにします。
■ルールが守られるためのルール
1)メールは勝手に削除しない
携帯会社によってはメール履歴やサイトアクセス履歴を確認する方法があります。
携帯会社に確認しましょう。
2)パスワードは掛けて良いが親に教える
ケータイサイトを開いている場合は、見せたい人だけが見れるようにパスワードを設定するべきです。ただし、そのパスワードを必ず親に教えるようにしましょう。
3)ケータイ費用は上限を決める
ルールだけでなく携帯会社と料金の上限契約を必ずしておいてください。
上限契約して無いと、特に初期は膨大な請求が来ることがあります。
※通信料 無料音楽ダウンロード1曲 約3000円/無料動画10分 約5000円
上限額に達するとケータイが使えなくなります。
パケット定額制にすればいくら使っても料金は5000円程度で済みます。
しかし、長時間使用や無料サイトの登録などに走りやすくなりますので慎重に考えてください。
■ルールを破ったときのルール
ルール違反に対してのルールを厳密に決め、必ず従うことが依存をひどくさせないために必須の要件です。約束を繰り返し破ることが、依存をひどくしていきます。
これは、親が絶対に実行しなければならないことと腹をくくっておいてください。
ルールを破ったときのルールの例です。
1)2回目までは十分話を聞いた上で1週間の使用停止
どうして破ったかの理由をはっきりさせ、誰が決めた何のためのルールか確認しましょう。
短期間に繰り返しルールを破る場合は、依存傾向が強くなっているか、隠し事がある場合が考えられます。なにより大切なのは、しっかり話を聞いて子どもの状況を知ることです。
2)3回目では1ヶ月の使用停止
例えば3ヶ月以内に3回ルールを破ったら1ヶ月の使用停止とします。
1ヶ月使用しないと依存からほぼ脱却できます。
3)使用停止後3回のルール違反で解約
使用停止から復帰の際にルールを見直しましょう。その上で、再びルールを破るようであれば、ケータイを使うだけの力量がないと判断してください。
このような状況になった場合にこそ、やさしく、しっかり、子どもの話を聞いてください。
子どもは最愛のパートナーを失った状況だと考えてください。
約束に対しては厳しく、子どもに対してはやさしく・・・です。
■すでに持たせている場合
ここにあげたようなルールを途中から作ることは大変難しいと考えましょう。
子どもと十分話し合いができて、ルールを作ろうということになったら、上記を目標にルールを話し合ってください。
子どもとの話し合いの上で、確実に守れるルールを決めることが重要です。
守ることが難しいルールを決めてしまうと、ひんぱんにルールを破ることになり、ルールの意味がなくなります。
ルールを大幅に緩和する代わりに、「ルールを破ったときのルール」を取り入れるように話しあいましょう。依存がひどくならないためには、絶対に必要な要件です。
古野 陽一
投稿者 Kosodate : 14:00 | コメント (0) | トラックバック
ケータイについて話をしていくなかで、子どもたちがケータイを持つまでにクリアしなければならない7つの関門をチェックしてみてください。
持たせてない場合は、この関門をひとつずつクリアしていくことを目指して親子で一緒に取り組みます。それが、対話による問題解決の力を付けるトレーニングになります。
持たせている場合は、この関門のどこがクリアできていないか、考えながら子どものケータイの話を聞いてください。子どもと対話がうまくでき、親の意見を聞き入れられる状態であれば、親子で関門を1つずつ確認することで、子ども自身が「力不足」を自覚できるかもしれません。
■7つの関門
関門1 感情的にならずに冷静に話せる
ケータイで、感情的な書き込みをすると人の命を奪いかねません。対話の際に感情的になるようでは、ケータイを持つには早すぎます。
関門2 相手が理解できるように話す
大人にちゃんと通用する言葉を使えなければケータイ社会に乗り出してはいけません。わからない言葉が出てきたら、「わかるように言い換えて」と辛抱強く聞きましょう。
関門3 一方的に自分の都合ばかり言わず、親の話をじっくり聞くことができる
ケータイは自分勝手に解釈しやすいメディアです。相手の言うことを正しく読み取る力が必要です。それは、気持ちに逆らう意見を聞き入れることでもあります。
関門4 ケータイが必要な理由を理論だてて説明することができる
使う目的がはっきりしていないなら不要なものです。ルールを作る際の大事なポイントにもなります。
持たせている場合には、実際に使っている用途を聞き、一覧表として整理します。
関門5 テレビ、ゲームなどの電子メディアの接触コントロールができている
ケータイの自己規制より、テレビ、ゲームの自己規制のほうが簡単です。
テレビ・ゲームのルールを自分で決めた上で、きちんと守ってもらいましょう。1日2時間以内が目標です。それができないようなら、ケータイのルールを決めても守れないでしょう。
関門6 ケータイ依存にならないための対応策を理解し家族に協力を依頼できる
自分では気づかないうちに、心と体と生活を蝕むケータイ依存になってしまいます。家族が協力する依存予防策が必要なことを、子どもがちゃんと理解している必要があります。
関門7 安全な使い方の説明ができ、そのためのルールを提案できる
子ども自身が、ルールを決めることが大切です。
ここまでくれば、親子で一緒にルールを決めることができます。
持たせてない場合には、関門7を突破したあと、使用目的に応じた最も安全なもち方を、子どもも親も納得してから持たせましょう。
持たせている場合は、特に関門6、関門7が重要です。しかし、一足飛びにこの話に進めるとは考えないほうが良いでしょう。ケータイについての不安や心配事を口にするようになったときに持ち出せます。それまで、じっくりと子どもの話を聞きましょう。
次回は、子どもがケータイ依存にならず、安全に守られるためのルールに進みます。
古野 陽一
投稿者 Kosodate : 16:02 | コメント (0) | トラックバック
どのくらい子どもから話を聞けましたか?
「聞く」というと、質問攻めにしてしまう親を見受けます。
それは、質問しているのであって、子どもの話を聞いていることにはなりません。
ひとつ質問して、子どもから言葉が出てくるのを待ちましょう。
かなり待っても言葉が出てこないようなら、同じ趣旨で違う質問のしかたをしてみます。
数回質問してみて、それでもあまり言葉が出てこないようなら、その日はそのまま終わっておくと良いでしょう。
無理せず、ゆっくり聞いていけばよいのです。
それでも、親が子の話を聞く機会ができているわけですから。
さて、引き続き子どもの言い分を聞きます。
■持たせてない場合
子どもの話から「どの程度わが子は、人と対話する力があるのか」を見極めましょう。
一方的に都合のよいことばかりに聞こえる場合は、「ちょっと見方が偏っているみたいなんだけど、もっと違った角度から調べてみてよ」と促してみるのが良いかもしれません。
分らない単語がずらずらと並ぶ場合は、「○○と○○と...について、もっと分りやすく説明してもらえんやか?」と頼むと良いでしょう。
親としてどう対応したらよいのか考えるのが目的で、ケータイのことを教えてもらっているのですから、ストレートに「親としては、どうしたら、あなたを守れるんだろう?」とわが子に聞くのも良いでしょう。
「対応がわかるまで聞き続ける」という姿勢です。
次回の講座までこの調子で、子どもと親でケータイへの対応を一緒に考えておいてください。
■持たせている場合
子どものケータイの使い方が、おぼろげにでも見えてきましたか?
批判や注意をしたくなるでしょうが、まだまだ早いです。
・なぜケータイを使うのか
・どんな必要性があるのか
・それが自分の生き方にとってどんな意味があるのか
そういったことも話してくれるように、じっくり話を聞いていきましょう。
子どもの持っている生き方が見えてくるはずです。
かなり親のことを子どもが信頼していないと、そういったことを話してはくれません。
そういったことが聞けるまで、ゆったりと構えましょう。
古野 陽一
投稿者 Kosodate : 11:00 | コメント (2) | トラックバック
思春期の子どもたちにとって、信頼できるのはどんな人でしょう。
自分の言い分を聞いてくれて、共感し、また自分のことも正直に語ってくれる人です。
ケータイ<バトル>は、親が「信頼できる人」になれるチャンスです。
親と子が真剣に対話する<バトル>が、親子の信頼関係を作るのです。
先攻は、子どもです。
まず、子どもの言い分をたっぷり聞きましょう。
■持たせてない場合
ケータイ・ネットの世界が分らない、どう対応していいか分らない、という親の場合
「対応がわからない限り持たせない」
というのが基本です。
「私に分らんもんを、大切なわが子になんで持たせられますか!」という理屈です。
これは筋が通っています。わが子への愛の表現でもあります。
また、対応が分れば持たせてもいいという意思表示でもあります。
ですから、子どもは、いろいろと言ってくるでしょう。
その言葉のひとつひとつを、子どもの自己表現として大切に聞き取り、批判も評価もせず、ただうなづいて聞いてください。分ったことをメモしていくのも良いでしょう。真剣に聞いているというサインにもなります。
そして聞き終わったあとに、「話してくれてありがとう。でも、まだ○○がよく分らん...」と続けるのです。
次回の講座までこの調子で、子どもからケータイの世界を学んでおいてください。
■持たせている場合
今、子どもがどういう世界に住んでいるのか、子どもに聞かせてもらいましょう。
まず、どんな話が子どもから出てきても、批判も評価もせず、ただうなづいて聞くのだ、と決心してください。
「うちの親は、けっこう話を聞いてくれるんだ」と子どもに思ってもらうのが目的です。
ケータイを取り上げたり、むやみに規制することが目的ではないことも約束しましょう。
そして、子どもが語りやすいことを質問しましょう。
例えば、ケータイについて「いいところってどんなとこ?」「面白いのは?」「今、一番楽しんでることは?」などです。
ひとつ質問したら、答えをゆっくり待ちましょう。答えが出始めたら、楽しく子どもの話を聞きましょう。質問攻めにしてはいけません。会話を楽しんでください。
次の講座までに、たっぷり子どもの話を聞いておいてください。
古野 陽一
投稿者 Kosodate : 16:36 | コメント (1) | トラックバック
思春期の子どもたちにとって、最も魅力的で必須のアイテムがケータイこと携帯電話です。
思春期の子を持つ親にとって、まず悩ましいのが、ケータイを持たせるべきか、持たさざるべきかでしょう。そして、持たせた後どうしたらいいのかも悩ましいところでしょう。
持たせてない親、持たせている親、どちらも急を要しているでしょう。それぞれの対応を同時進行で、ステップ・バイ・ステップで進めていきます。
■覚悟が必要
ケータイ・ネットの世界は、猥雑でネガティブで、手に負えないほど欲望と毒が渦巻き、拡大し続けている膨大な空間です。一方、ケータイを手にした子どもたちにとって、そこは日常生活の場になっています。
この世界の実態を知らない親には想像もできないことが、たやすく起きてしまいます。
親の対応能力をはるかに超える事態が起きるかもしれません。
まず、どんなことが起きても「必ずわが子を守るのだ」というどっしりした覚悟が必要です。
この覚悟が決まれば、子どものケータイ世界での行動に対して100%の責任を持つことが親の責任であり、その責任を果たすために100%の権限が親に必要なことに気づくでしょう。
■持たせてない場合
「持たせてもいい」と考えましょう。
理屈抜きで絶対ダメだ!では、結局、子どものケータイへの対応を親が学ぶ機会を失ってしまいます。
その上で、
・わが子にはケータイを持つにふさわしい人間的な力がついているのか
・わが子の問題対応力はどの程度なのか
・どんな環境を用意すればわが子を守れるのか
といったことを学んでいきましょう。
■持たせている場合
ケータイをきっかけに、どんなことが起きても、それは持たせた親の責任です。
だからと言って、なんの申し開きも無く、強制的に取り上げたり、一方的にいきなり規制を強化したりするのはうまく行きません。
子どもが手にした権利は、親といえども一方的に取り上げることはできないのです。
子どもがどういう世界に住み、どんな行動をとっているのか、そこを知ることから始めます。
しかし、子どものケータイをこっそり覗くのは、最低にして最悪の対応です。
子どもの信頼を失い、結果的にわが子を守ることができません。
子どもに話を聞くことから始めます。
詳しくは、次回の講座で!
古野 陽一