「子どもの望ましい行動を育む(はぐくむ)~Step2:子どもの行動には意味がある~」

平成30年9月20日(木)

はじめに

 今回からは、私が実践しているペアレントトレーニングで取り組んだ事例:保育園に通っている年長さんのタケル君(仮名)のことを例にあげて「子どもの望ましい行動を育む」ことについて考えていきたいと思います。

 毎朝、タケル君は、目覚めると泣き叫んで、お母さんやおばあちゃんがその対応に手こずっていました。共働きのお母さんは、早く保育園にタケル君を連れて行きたいけれど、それどころではありませんでした。タケル君は、来年から小学生です。ご両親や祖父母は、「このままだと小学校に行けるのか」と心配されて、ペアレントトレーニングに相談に来られました。

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どうしてタケル君は朝から泣き叫ぶのでしょう

 原因を探るため、タケル君が、目覚めた時の様子をビデオで拝見しました。彼は目覚めてすぐは泣いておらず、小さな声で「ママ・・・ママ」とお母さんを探していました。お母さんはというと、出勤準備で大忙しで「ママ」と呼ばれても構ってあげられませんでした。そして、ついにタケル君が大声で泣き叫びだすと、無視できなくなって「タケル、また泣いてどうしたの?」と駆けつけていたのです。

 このようなやり取りが、毎朝のように続いていました。

 

タケル君の気持ちはただ「ママに来てほしい」だけ

 仕事をしていてもしていなくても、大人の朝は大忙しです。朝、目覚めたタケル君は、ママに来てほしかっただけなのです。ママは、タケル君に「ママ」と呼ばれるだけで困ることはありません。ママは、タケル君を無視して出勤準備を続けていました。しかし、タケル君が泣き叫びはじめると、とうとう無視できなくなって抱っこをしていたのです。

 これらのことから、毎日、タケル君が泣き叫んでいた行動を分析すると、タケル君には、「泣き叫ぶとママが来てくれるという関連性」が続いていたようでした。(この「関連性」については、シリーズ4回目で詳しく説明します)。つまり、タケル君が泣いている行動の意味は、「ママに来てほしい」なのだと推測できます。

皆さんの中には、子どもが泣くと「泣かないでちゃんと言葉で言ってごらん。」と日頃からお子さんに教えている方がいると思います。このしつけは、とても大切なことですが、もっと効果的な方法があります。それは、泣く前に子どもが求めていること(行動の意味)に気づき、対応をしてあげることです。そうすることで、子どもの「困った行動」ではなく、「望ましい行動」を育むことができるのです。

 皆さんなら、こんな時どのように対応しますか。次回は、タケル君が泣かずに気持ちよく起きてこられるための「手助けと環境調整」についてお話をする予定です。

(イラスト『ペアレントトレーニング実践ガイドブック』あいり出版より)

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