~生活体験を豊かに~第4回 「やっていいこと」、「悪いこと」も教えなければ分からない

平成19年2月1日

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 今の子ども達の特徴の一つは、やっていいことと悪いことを厳しく教えられていない、ということをあげることができます。また、場面や場所にふさわしい言葉づかいや態度を教えられていない子どもが少なくありません。自明のこと、言うまでもなく、そうしなければいけない、さまざまなことを教えられていません。

 生活の場面ごとに、教え正されなければ身につかないことは、たくさんあります。例えば、友達を殴る、蹴るなどの暴力行為は決して許されることではありません。そんな場面では、理由はどうあれ、殴った方の子どもは厳しく叱られることになります。ところが、長い時間、叱られてもお詫びの言葉が出てこない子どもがいます。これは、その子が現在の年齢に達するまで保護者から一度も厳しく叱られたことがない、したがって、叱られる時の態度が学習できていないということを示しているのです。ある犯罪学者は、子どもを叱る保護者の態度に、規則性と平等性がないと子どもの心に罪の意識を培うことができないと言っています。規則性とは、ある行為をすると必ず叱られる、平等性とはその行為は誰がしても必ず叱られるという、叱る時の原則です。そして、子どもに必要なことは、保護者の情緒表出をともなう叱り方であって、言葉だけで子どもをしつけることはできないとも言っています。

 私流の言い方では、保護者が単なる言葉だけで説教をするという態度ではなく、体全体でわが子の行為の非を諭す気迫と覚悟が感じられる態度が必要なのです。ただし、保護者の「叱る」気持ちが子どもに届く前提には、日頃から「可愛がる」ことが必要です。子どもは、自分を誰よりも愛してくれている人の言うことだから、心から悔い改めようと思うものです

 

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