第1回 思春期うつ病とは

平成29年4月13日

現代は核家族化が進み、地域社会も崩壊しつつあり、大家族や地域全体で子育てすることが減り、保護者は孤独な子育てを強いられています。
 私は、福岡市の人権講師として公立小中学校PTAの講演をさせていただいていますが、ここ10年でも不安を訴えるお母さん、お父さん、子どもさんたちが増えて来ました。不登校の子どもの数は増加の一途を辿っている上、世界の先進国の中でも日本の青少年の自殺率の高さは群を抜いています。そこで、私は今月から4回シリーズで第1回「思春期うつ病」について、第2回はカウンセリングの視点から、思春期うつ病と「自尊感情」との関連について、第3回は、具体的なケースについて、第4回には「家族がどう関わったら良いか」について書きたいと思います。

 まず、現代の子育ての困難さや不安の増大の原因を考える上で、子育て環境の変化について触れたいと思います。福岡の地方新聞『夕刊フクニチ』誌上で1946年(昭和21年)から連載された長谷川町子さん作「サザエさん」では、終戦の復興期から高度経済成長の時代の日常生活が描かれており、当時の子育ての様子をうかがい知ることが出来ます。タラちゃんのお母さん「サザエさん」は、明るくてのんびりとした性格です。その性格のまま、のびのびと子育てが出来ているのは、子どもや孫の存在自体を受け容れてくれる母性の象徴のような「フネさん」と ルールを守らない時などには感情的にならずにしっかり叱ってくれる父性的な「波平さん」や親戚に加えて、子どもたちを見守ってくれる近所の人々が居てくれるからではないでしょうか。こうして、多くの大人が子育てに関わっていた昭和の時代と違い、現代は核家族化が進み、地域社会は崩壊し、情報化社会が到来し、いじめや不登校が増える現代において、特に核家族での子育ては、お母さん一人の肩に大きくのしかかっています。もし、子どもが不登校になったり、うつ病になってしまったりしたらどう対応したらいいかも考えていきます。このWEB講座で、少しでもお母さん方の助けになる内容にしたいと思います。
 
 さて、日本における自殺は主要な死因の一つで、10万人あたりの自殺率は20.9人となっています。その原因として、うつ病があげられ、子どもたちにもその現象がみられるものの、見逃されてきております。
 
 児童・思春期うつ病に多い症状は、イライラ感、身体的愁訴、不登校です。子どもは抑うつ気分を言葉で表せず、それをイライラ感や身体症状、不登校、引きこもる、ゲームに依存する、しゃべらないといった形で現すこともあります。また、思春期の子どもは抑うつ気分を「つまらない」「どうでもいい」「面倒臭い」「疲れる」などの言葉で表現することもあり、親から見るとただの怠けや反抗に見えることもあります。このような事から、子どもが抑うつ気分を表に表していなくても心の内側では、苦しんでいるのかもしれないという見方を持つことが大事です。次の項目を参考に子どもさんの様子を注意深く観察してみてください。

○思春期うつ病には、次の様な前兆が見られることがあります。
  ・寂しそう、あるいはいら立っているように見えたり、涙ぐんだりしている
  ・食欲や体重に変化がでる
  ・以前は好きだったことに興味を失っている
  ・活力が落ちている
  ・集中力が落ちている
  ・自責の念や無力感があったり、悲観的になっている
  ・睡眠パターンが大きく変わる
  ・頻繁に「つまらない・どうでもいい」と言う
  ・自殺をほのめかす
  ・友だちづきあいやクラブ活動をしなくなる
  ・成績が下がる
  ※上述の前兆が、全てうつ病と関係しているとは限りません。

【参考】AACAP(American Academy of Child and Adolescent Psychiatry)

 以上の様な前兆や症状が見られるようになったのがいつからかを親や身近な大人も考えてみましょう。

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