~心と体の健康管理~第5回 春なのに・・・

平成19年3月5日

《憂いの春》
 花もほころび、うららかな周りの様子に比べると、三月は、思春期の子どもの心の内は結構複雑です。3年生は卒業を前に最後の難関と格闘していますし、1,2年生も、進級に際して、自分の進路について、問い直しているときではないでしょうか。
この時期、不安や迷いを抱えて保健室を訪れる生徒が増えます。目標が定まらず、とても不安な様子です。

《決めるということ》
 「将来の夢」「未来への希望」と文字にするととても明るいイメージなのですが、選択を迫られている本人の胸の内はどうなのでしょう?まだ、人生の4分の1しか生きてきていないのに、残りの4分の3の人生をどう生きるかの決断を迫られているのです。
溢れる情報の中から自分に必要なものを選べず振り回されている子。成功体験不足から自分に自信がもてない子。自分にどんなことができて、何が向いているのかわからずにいる子。みんな迷っているのです。
 三者面談の時、「自分の将来をどう考えていますか?」
と質問されても答えられない子がふえました。そのかわり、保護者が詳しく説明されますので、親の希望はよく把握できます。

《自分のために決める》
 「親が言うから・・・」「先生の話では・・・」と今まで決断を他に委ねてきたのに、将来のことに関して「自分で決めなさい」と、突然言われても困るってしまうのです。ですから、『自分のために決めること』の練習を日頃から積み重ねていくことが大切になります。
小さな決断には、小さなご褒美がついています。小さな決断の結果、うまくいけば、小さな達成感が味わえ、うまくいかなければ、小さな挫折感を感じるでしょう。小さな達成感も貯めていくことで、自信や意欲につながります。小さな挫折感ならば、なんとか自分で乗り越え、また挑戦することができます。
 親は、そんな小さな決断の結果を温かく見守り続けることで、大きな決断の日を無事に迎えられるでしょう。親が不安になりおろおろとすると、子どもは自分の決断に自信がもてず、できることもできなくなってしまいます。子どもも頑張っているのです。努力しているのです。親としても、不安に揺れず、どっしりと落ち着いて見守りたいものです。
 先日、模試の結果が届きました。判定は『C』。我が子といえば、「入試まで、あと1年もあるから、大丈夫!」と落ち込む気配はなし。「かなり頑張らないと合格しませんよ。」と言われたのを思い出した母は、「『頑張れば、合格する』と先生もおっしゃっていたから」と、親子で妙に納得してしまいました。こんな楽天親子をきっと担任の先生は心配されていることと思います。

 

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