子どもの望ましい行動を育む(はぐくむ)~Step3:「手助けと環境調整」~

平成30年10月11日

はじめに

 前号では、タケル君(仮名)の様子をよく見ていると、彼の泣き叫ぶ理由が「ママに来てほしい」ということがわかりました。理由がわかると、対策を立てやすくなります。
 今回のStep3では、タケル君が毎朝泣かずに起きられるようにするための「手助けと環境調整」についてお話をします。

泣かずに起きられるためにしてあげること

 皆さんは、どうすればタケル君は泣かずに起きられると思いますか?
 実は、「褒める」とよいのです。

 しかし、「泣いている時にどうやって褒めるの?」と思った方がおられることでしょう。
 そのためには、タケル君が泣かずに起きられるように手助けや周囲の環境を整える必要があります。そして、タケル君が泣かずに起きてきたところをすかさず「褒める」のです。つまり、タケル君が、「泣かないで起きる」という成功体験をするために、手を差し伸べてあげるということです。
 結果、タケル君は、翌日から泣かなくなりました。
 子どもは、自分でできた行動を褒められ、認められたことが実感できると、その行動を喜んで行います。そして、その行動は継続しやすくなるのです。

「褒める」ための手助けと環境調整

 お母さんが行った「手助けと環境調整」は次の3つです。

 1.タケル君が、早寝早起きするよう工夫した。

 2.タケル君が目覚めた時に、お母さんは台所で待っていてあげた。

 3.朝起きてきたら、ごほうびに金ぴかシールを貼ってあげた。

image3.jpg

 親が、どのように対応すれば、子どもは困った行動ではなく褒められる望ましい行動ができるのかを冷静になって考えることが大切です。

 子どもは、自分が成功体験をすると嬉しいものです。さらに、そこで、大好きなお父さんやお母さんに褒められるともっと嬉しくなります。それが、子どもの自信につながり、望ましい行動を身につけやすくします。だからこそ、子どものことを「褒めて」あげることができるように、「手助けや環境調整」をすることがとても大切になってきます。

 1.お子さんが困った行動をした時には、まず、その行動の意味(原因)を考えます。

 2.次に、行動の意味に対応した手助けや環境調整を行います。

 3.最後に、できたことを褒めます。

 親は、子どもが困った行動を起こしてから、状況を何とかしようと頑張りがちです。しかし、子どもが困った行動を起こす前に、原因を改善する「手助けや環境調整」を行って褒めることが、「望ましい行動」ができるようになるポイントなのです。

 次回は、困った行動が繰り返される理由と、子どもを褒めるときのコツやポイントについてお話をする予定です。 

イラスト『ペアレントトレーニング実践ガイドブック』あいり出版より

 

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