「ゲーム障害と依存症-今、私にできること-」

令和4年5月18日

 新学期も始まり、保護者の皆さまもお子さまたちも、新しい環境に期待と不安の入り混じる1か月をお過ごしのことと思います。少しお疲れも出ている頃ではないでしょうか?

「ゲーム障害と依存症」第2回目は、「ご家族の対応」についてお伝えいたします。

 ご家族の対応で、最初にすることは「疲弊しきった保護者自身の心身を整える」ことです。依存症支援の領域には、HALT(ハルト)という言葉があります。これは、Hungry:空腹・睡眠不足,Angry:怒り,Lonely:悲しみ・孤立感,Tired:疲弊,の頭文字をとった言葉です。HALTの状態の時は、エネルギー切れです。ご自分の充電と回復が、最も優先されます。弊所の家族会でも、「ゲームと子どものことで頭がいっぱいで、自分が楽しむことに罪悪感を感じる」「息子をこんな状態にした。私はダメな母親です」というお話を伺います。ご夫婦間でもこのような気持ちを共有することは難しい場合もあります。その時には、迷わず第三者に相談してください。依存症という病に最も有効なのは、「つながり」です。安心して話せる第三者をみつけて、定期的に連絡をとりましょう。医療や相談機関、ハードルが高い場合には相談機関に限らず、ご友人でも大丈夫です。

 次に、毎日ご本人と顔を合わせられる強みを活かし、ご本人への「声かけ」を意図的に大切にしてみてください。例えば、「おはよう、おやすみ、美味しいね」等の短い挨拶がおすすめです。返答はなくて大丈夫。ご自分のために、トライしてみてください。トライした自分にOKを出してください。また、保護者の皆さまが、子どもの頃、「言われて嫌だった」という言葉かけは、別の言い方が出来ないか、本当はどんな気持ちを伝えたいのか考えてみましょう。

 ご自分が少し回復したら、子どもの好きなゲームはどんなものなのか、保護者の皆さまもゲームのことに関心を示してみましょう。ゲーム実況や解説の動画もネット上にたくさん出ています。ルールを話し合う場合にも「どうせわからないでしょ」と思われた状態では、現実的なルール設定は難しいものです。ルールを破る・守れないの繰り返しは普通のことです。ルール作りで大切なのは、ルールを作る過程で生まれる「やりとり」です。そして、ぜひ定期的なルールのアップデートをしながら、それぞれのご家庭の「ベスト」を探してみてください。「ゲーム障害と依存症」第3回目は「予防」の観点からお伝えいたします。

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