~親と子の円滑なコミュニケーション~親子のコミュニケーション(その5)「躾け(しつけ)と虐待との違い」

平成20年3月1日

 K子さんは高校1年生です。中学生のときに一度だけ親に無断で外泊をしました。父親からこっぴどく叱られたそうです。高校生になった今「お父さんは私のことを大切に思ってくれていたから叱ってくれた。」と言います。
 外泊した友人宅でそのことに気付いたそうです。外泊した時、その子が父親の前でタバコを吸っていたのに、その父親は見て見ぬ振りをして黙っていたそうです。外泊や夜遊びしても何も言わないのだそうです。その親の姿を見て、子どもへの無責任さや無関心さなどを感じたそうです。と同時に、友人のことが可哀想に思えたそうです。

 K子さんは「お父さんが叱ってくれたから、今の自分があるように思う。」と言います。このように、子どもは叱られたくはないけれど、悪い時にはちゃんと叱ってくれる親を求めています。
 その際に親として気をつけないといけないことがあります。それは、躾けと虐待とは全く違うものだということです。それは、「叱る」と「怒る(おこる)」との違いでもあります。

 「叱る」と「怒る」とはどう違うのでしょうか。「叱る」時の親の状態は冷静です。子どものどこが悪かったのか、この間違いを通して、その子に何を気付かせるのかなどを考えて、「悪いことは悪い」としっかり伝える行為を「叱る」といいます。
 一方、「怒る(おこる)」時の親の状態は、顔は鬼のようになり、目つきも厳しく、声も大きく、感情的になっています。興奮しているので、言っている言葉も自分でも良く分らなくなります。子どものことを考えてというよりも、自分の怒りを発散させているようなものです。
 「なんで○○しないの!いつもあなたはそうなんだから!」と大声で怒鳴っている親の姿を時々見かけますが、これでは何を伝えようとしているのかさっぱり分りません。言われている子どもは怖い思いをするだけです。恐怖心でもって制御しようとしているようなものです。感情的になったときには、手をあげてみたり、暴言を吐いてみたり、冷たく無視するような“虐待”が起きやすくなります。非常に危険な状態です。

 子どもは親の言うことを聴かずに失敗することが度々です。そうしながら成長していくものなのです。しかも、子どもは子どもで、親の言うことをきかなかったこと、自分が失敗して申しわけなさなども感じています。失敗することで、既に子どもの心の中は反省モードになっています。
 そんな時は、大きな声や執拗な態度は必要ありません。問題の所在を指摘し、今度からはどうするかを、はっきりと言えば子どもの「躾け」に結びつくのではないでしょうか。

教育文化研究所 

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