子育てQ&A:学童期

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小学6年生の男子ですが、身の回りの整理が苦手です。どうしたら今からできるようになるでしょうか。
 子どもの身の回りが散らかって片づいていないと気になるものですよね。
なるべく簡単にできる範囲で実行することから始めるのはどうでしょう。
例えば・・・
 ・学校から帰ったら、持ち物は決めたところにまとめて置く。〈大きなカゴを準備してその中に入れる等の方法もあります。〉
 ・就寝前に片づいているか見回してみる。
という程度から始めて、だんだんレベルアップしていくようにします。そして、少しで も進歩したら、「気持ちいいね。」とこちらの立場で意思表示をすることが効果的だと思います。
 初めから完全主義でのぞむとなかなかうまくいきません。手や口を出したい時でも、子どもがやろうとしていたら、じっと見守る事も必要です。探し回ったり、忘れ物をしたりしながら子どもは成長していくものなのです。
 
小学5年生の女子です。担任の先生と波長が合わないようで、トラブルが多いようです。 どうしたらよいでしょうか。
 担任の先生との波長が合うと合わないでは学校生活が大きく違ってきますので、親御さんが心配なさる気持ちはよく分かります。
 ところで、先生との間にどんなトラブルが起こっているのでしょうか。何か一つのことで先生との間に感情の行き違いが起こると、気まずくなって距離を置いてしまいがちですね。先生は大人だし、教育のプロですから、担任の先生の方からお子さんに近づいてほしいところですが、もしも、それが望めないようなら、まずはお子さんの言い分をしっかり聞いてあげたらどうでしょうか。子どもは思っている事を聞いてもらえるだけでも、自分の気持ちが整理でき心も軽くなるものです。
 小学校高学年の時期は、学習面でも人格形成の上でもとても重要な時期です。お子さんがたくさんの人との人間関係を上手く築いていかれるためにも、担任の先生と是非良い関係になるよう側面から支援してあげてください。その為に、親御さんは担任の先生とのコミュニケーションを図られるのもよいと思います。
 それでもお子さんが先生に近寄れず、会話が交わされないようであれば、スクールカウンセラーの先生に気軽に相談されることも良いのではないでしょうか。
 
小2息子の学校の学級委員をしています。なるべくPTA活動には参加するようにしていますが、母親同士の話の輪に入れず、無視されているのではないかなどと感じて、落ち込んでしまう時があり、悩んでいます。

 PTA活動に積極的に参加してあるのですね。話の輪に入るタイミングを逃がすと、なんとなく気まずかったり、嫌な思いを感じたりしてしまうものですね。保護者同士の集まりなどで、こんなこと言ってよいのだろうか、他の人はどう思っているのだろうかと考えると、なかなか自分のことばが出しづらくなって、どうすれば良いのかと迷ってしまうこともあるのでしょうね。

 ところで、みなさんがそろわれるまでの短い時間はどのようにしていらっしゃいますか。その時間に、コミュニケーションのウォーミングアップしてみてはどうでしょう。隣の人への声かけや、あまり知らない人であれば、天候の話などを切りだせばよいし、子供を通して知っているどおしであれば、あたりさわりない日常的な子どもの情報を話題にすることはどうでしょう。案外、人前での緊張感が薄れ、お互いのコミュニケーションがとれるかもしれませんね。

 話し合いの場では、最初から立派な答えをだすことに捉われず、まず、まわりのひとの意見に耳を傾けることが大切です。自分の考えを伝えたい時は「あなたは・・・である」と言うより、「自分は・・・・思う」「こんな気持ちでいる」などのように自分の考えを表現して対応していくのが良いのではないでしょうか。

 また、何か行動を求められた時は、進んで行動に移し、いっしょに体を動かすことも大切です。何か共通の行動をするうちに互いの話が進んで、人の輪に入りやすくなることもあります。そうしているうちに、子どものしつけの悩みなども徐々には話せる仲間がきるようになるかもしれませんよ。


 
小学5年生の長男は、去年の秋頃からゲームに凝って、親がいくら注意しても勉強もせず夜遅くまでゲームばかりしています。どうしたらゲームから抜け出すことができるでしょうか。

 お子さんが勉強もせずにゲームばかり熱中しておられれば、親御さんは勉強が遅れはしないかと心配なさるのも無理ありませんよね。でもゲームは楽しいので、ついつい長時間遊びたくなるのも分かります。ゲームを買い与えた最初の頃に、遊びや勉強の時間の割り振りなど、約束事を作っておかれると良かったですね。

 それにしても、一方的にゲームは良くないものだと決めつけていらっしゃいませんか。大人の価値判断で遊びに善し悪しの区別をつけると、子どもは反発します。ゲームには面白くてやめられないものがたくさんあります。また、ゲームをする中で、ルールに従うことの大切さを学んだり、子どもなりの社会性を身につけたりできるものもあり、一概に悪いと言い切れないものもあります。
 
 そこで、お子さんがどんなゲームに没頭しておられるのか、親御さんも興味を示してみられてはいかがですか。一度「お母さんにも教えて」と言って、お子さんと一緒にゲームをなさってみてはいかがでしょう。ゲームのことで叱ることばかりだったお母さんが、自分の好きな遊びに関心を示してくれたことで、お子さんはゲームのことだけでなく、時間の使い方などに対するお母さんのアドバイスにこれまでとは違う反応を示されるようになると思います。

 要はいかに時間のけじめをつけるかということです。同じ目線に立って親子で話し合えたらいいですね。


 
小学2年生の長男です。小さな頃は活発な子だったのですが、現在は何に対しても無気力なので心配しています。

 お母さんはお子さんのどのようなところが特に無気力だと感じられますか。例えば、学校の宿題になかなか取りかからないとか、友達と遊ばないでゴロゴロしているとか、何度も言われないと何もしないなどのことが気になられておられるのでしょうか。

 子どもの成長と共に周りの大人が多くの要求をうるさく指示したくなりますが、あま り細かく指示され続けているとなかなか意欲が出なくなるものです。活発だった頃のことを思い出してみてください。お子さんのされることをすばらしいと受け入れておられたのではないでしょうか。今、少しでも興味を持って取り組む姿勢を見せた時、それが 親の思いとは違っていてもそのことを認めて言葉かけをしてみませんか。子どもはそのことに支えられてやる気が出てくるのではないでしょうか。


 
小学4年生の息子ですが、ちょっとしたことででカッとなり、キレて周囲にあたります。

 キレて周囲に当たっている子どもの姿に、親は胸が痛みますね。

 小学4年生の時期は、自我が目覚める時期です。できるだけ子ども自身の判断で実行に移すように仕向けることが大切です。実行できたら認めてあげましょう。そして普段から良いところを見つけて認めてあげましょう。どうして感情的に走るのか共に考え、成長するという親の姿勢が、子どもの心に響くのではないでしょうか。

 しかしながら、こういう状況が幼少の頃から長く続いている場合は、教育センター等の専門機関に相談するのも一つの方法です。


 
小学4年生の息子は、親の言うことを聞こうとしません。夫は「放っておけ」と子育てに関わりを持とうとしないので、どうしたものかと悩んでいます。

 小学3・4年生の頃は、ギャングエイジといわれ、友達と徒党を組んでの集団生活を好むようになり、親から少しずつ離れていくようにもなります。これは「自立」へのステップとして大変意味があります。友達との遊びを優先して母親と約束した帰宅時間を守らなかったり、口答えをしたり、規則を破ったりすることも起こってきます。

 父親は母親ほど子どもとの関わりを持てない場合も多いですが、せめて夫婦間での話し合いの機会を作られてみてはどうでしょうか。「放っておけ」といわれる真意を聞かれるのも良いと思います。どちらにしても両親の会話をする姿を子どもに見せることは、大事な事だと思います。


 
小2息子落ちつきがなく、よくいたずらをします。ADHDではないか心配です。

 落ち着きがなかったり、いたずらが多いということで、ADHD(注意欠陥・多動性障害)を心配されているのですね。小学1.2年生くらいの男の子には、ADHDのような様子を見せることもよくありますので、安易に判断する事はできません。診断は専門医がする事になっています。チェックポイントについて下の表を参照して下さい。もし、チェックポイントが多いようでしたら、学校の先生や、教育センター、小児科医などに相談されることをお勧めします。 しかし、次の事は、手軽に親や教師ができる事ですので、次の事を試してみてください。

 ・何をすればいいのか順番を決めて、紙に書いてはっきり知らせる。
 ・約束事は言うだけでなく、視覚的に分かるようにする。
 ・叱るときは、短い言葉で具体的に、手短に。
 ・良い行動の時は、必ずほめる。

 こうすることで、自分のやることがはっきり分かり、不安に思う事がなくなり、落ち着く事が多くなると思います。
 もし、ADHDだと言われても気を落とさないでください。きちんと正しく支援すれば、必ず良い方向に向かいますし、すばらしい力も発揮してくれます。ぜひ専門家の指導のもと、学校の先生や家族が協力して療育にあたってください。
 


A.(1)か(2)のどちらか
(1)以下の注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月以上続いたことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないもの

【不注意】
 (a)学業、仕事またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。
 (b)課題または遊びの活動で注意を持続するとこがしばしば困難である。
 (c)直接話しかけられた時にしばしば聞いていないように見える。
 (d)しばしば指示にに従えず、学業、用事または職場での義務をやり遂げることができない(反抗的な行動または指示を理解できないためでなく)。
 (e)課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。
 (f)(学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける。嫌う、またはいやいや行なう。
 (g)(たとえばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具など)課題や活動に必要なものをしばしばなくす。
 (h)しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。
 (G)しばしば毎日の活動を忘れてしまう。

(2)以下の多動性-衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月以上持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しない:

【多動性】
 (a)しばしば手足をそわそわと動かし、またはいすの上でもじもじする。
 (b)しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。
 (c)しばしば、不適切な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上がったりする(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかも知れない)
 (d)しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。
 (e)しばしば"じっとしていない"またはまるで"エンジンで動かされるように"行動する。
 (f)しばしばしゃべりすぎる。
【衝動性】
 (g)しばしば質問が終わる前にだし抜けに答えてしまう。
 (h)しばしば順番を待つことが困難である。
 (o)しばしば他人を妨害し、邪魔する(例えば、会話やゲームに干渉する)。

B.多動性-衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳未満に存在し、障害を引き起こしている。

c.これらの症状による障害が2つ以上の状況において(例えば、学校[または仕事]と家庭)存在する。

d.会社的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない。

e.その症状は広範囲性発達障害、精神分裂病、またはその他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものでなく、他の精神疾患(例えば、気分障害、不安障害、解離性障害、または人格障害)ではうまく説明されない。

病型に基づいてコード番号をつけること:

30401 注意欠陥/多動性障害、混合型:過去6ヶ月間、A1とA2の基準をともに満たしている場合。

31400 注意欠陥/多動性障害、不注意優位型:過去6ヶ月間、A1を満たすが基準A2を満たさない場合。

3141 注意欠陥/多動性障害、他動性-衝動性優勢型:過去6ヶ月間、基準A2を満たすが基準A1を満たさない場合。

子どもと健康 臨時増刊 「ADHD.LD.自閉.多動ってなあに」 2003.1 (労働教育センター発行)

 
小学3年生の娘が、時々学校を休みたがるようになって心配しています。

 子どもが学校を休みたがるようになると、親は心配でたまりませんね。家にいたいから学校を休みたいのか、友達や先生との間で何か気まずいことがあるのか、あるいは勉強が分からなくなったから学校に行きたくないのか、じっくり話を聞いてあげてください。
話をしっかり聞いてもらう事で、娘さんは元気を取り戻されるかもしれません。

 もし、ふさぎ込みがちであれば、一緒に料理などの家事をするなど、行動を共にする事も効果的です。学校でのことが心配であれば、遠慮せずに先生にご相談するのも一つの方法です。


 
小学5年生の娘ですが、女の子同士のトラブルがあり、ひどく叱られたせいか、学級担任不信になっています。

 学級担任からひどく叱られたのは娘さんにとってちょっとつらい経験でしたね。小学校の高学年になると特に女の子はグループ化したり、グループ同士のいざこざが起こったりもします。大人が間に入ってうまく調整できることもありますが、かえって後々尾を引く場合もあるようです。担任の先生は、女の子同士のトラブルを心配して、間に入られたのでしょうね。どのようなトラブルだったのか、今の気持ちはどうなのかをじっくり聞くことが大切ではないでしょうか。

 話をしっかり受け止めてもらえれば、娘さんの気持ちは整理できると思われます。そうすれば、娘さん自身が先生に事実をきちんと話され、誤解が解けて、娘さんもすっきりした気持ちになられるのではないでしょうか。そして何より、先生との心の距離が近くなるでしょう。