ふくおか子育てパーク

« 「分かって嬉しい PTA」!? | メイン | ?「歌の月 詩の月 皐月 生まれ月 子の摘むシロツメクサを受け取る」 »

子ども達がくれた 命の時間

2006年04月29日

桜の木は緑色一色になり、今は藤やツツジの花が美しい。もう4月も終わる。
春ってやっぱり大好きと思いながら、テレビのスイッチを入れたら、
「福知山線脱線事故から1年」ということで、
事故で亡くなられた方のご家族のこの1年や、
JRの安全対策などについての番組が放送されていた。

身近な人の死は辛い。納得いかない死は余計に辛いだろう。
事故を起こした会社への恨みも消えはしないだろう。
・・・・・・生き残ってしまった自分を責めたりもするのかな?
もし、あの時、私が○○していたら、あの子は、あの人は、死なずに済んだのに・・・・。
そして、もし、あの子、あの人が生きていたら・・・・・。と、考えるのかな?

明るく、楽しく、4月を過ごし、このコラムを終わるつもりだった。
それなのに、ちょっと、暗い書き出しになってしまった。

小学校低学年の頃、私は、自分はサイボーグだと思っていた。
大人になるまでは成長するけど、死なない。
自分の人生を考えて・・・・・・、
産まれた時のことは覚えていないし、まだ、死んでもいない。
生きている時しか知らない。もちろん、自分が死ぬなんて考えたくない。
だから、自分はサイボーグだと信じていた。

 自分がサイボーグではなく、人間で、いつかは死ぬんだと分かったのはいつだったのかな?
それでも、「サイボーグで、死ななきゃ良いのに」としばらくは思っていた記憶がある。
死に対しての恐怖なのかな? 

私は今、死ぬのが、そんなに怖くない。
そんなにである。だから、もちろん怖くもある。
だって、私は、死んだ事無いんだもの。
やったことの無いことは、怖いものだ。

1年また1年と年を重ねる毎に、あの世に知り合いが増えている。
祖父も祖母も、父・・・・。そして、私の2人の子ども達も。2人とも男の子だった。

事故で子どもを亡くされた親御さんがテレビに出られて、
事故を起こした会社に対して怒りの声を上げていらっしゃるのを聞くと、
不謹慎にも「いいなあ。責任ある人に怒りをぶつけられるから・・・」と思ってしまう。
やっぱり、私は、罪深い女である。

昭和63年8月、私は、子どもを殺した。
「感染したら、母体も危ない。」「命を助ける事が、赤ちゃんを助ける事になるのか、命を助けない事が、赤ちゃんを助ける事になるのか分からない。」
と言われた。妊娠6ヶ月。22週目こと。赤ちゃんは、お腹の中で、元気に動いていた。
命を助けない結論を出したのは、母親である私だ。
本当は、生きて生まれたかったのかもしれない。と、自分を責めた。

 平成3年10月、私は、小さな男の子を産んだ。
「あと3日、お腹に中に入れておくと、お腹の中で死んでしまうでしょう。」
「帝王切開になります。死んだ子どもを出すのと、生きた子どもを出すのでは、母体の回復が全然ちがいます。」
妊娠7ヶ月。25週目のこと。生まれた子どもは、580g。お腹の中で、育っていなかった。
そして、大動脈開存症・心室中核欠損症。
生後13日目、体重450gの時に手術を受けた。そして、19日目に天国に旅立った。
痛い、苦しいだけの人生を送らさせてしまった。
あと3日、お腹の中に居させていたら、彼は、眠るように死ねたかもしれない。一番安心できるところで・・・・。
母体の回復のために、彼にあれほど辛い人生を歩かせてしまったのか。お腹の中で死なせてあげればよかった。と自分を責めた。
みんな「死んだ子どもだ」と言った。でも、私にとっては「生きた子どもだった」

だれがどんな慰めの言葉をかけてくれても、立ち直れなかった。

最初の悲しみを薄らさせてくれたのは、夫がくれた般若心経とリッツの誕生だった。
リッツを産んだ時、私は大量出血、大量輸血。生死の狭間をさまよった挙句、助かった。
生死は、人間が決めるものではない、もっと大きな力が働くんだと思った。

2度目の悲しみを乗り越えたのは、リッツの働きかけと、Hさんの言葉だった。
Hさんは、ママのおひざでおはなし会を救ってくれた人の1人。そして障害を持って生まれたmmチャンのママ。
彼女は私に言った。
「わたしね、マッキーが、ものすごく辛い思いしてるのは知っとるんよ。そして、わたし、mmチャンが死ねばいいなんて思わんのよ。でもね、マッキーを見てると、つい羨ましいなって、思ってしまうん。マッキー、自由に動けるやん。いっつも、自由やん! ごめんね。こんな事思って!」
正直、言われたときは「障害があっても、子どもが生きていてくれる方がずっと幸せやん。何言いよっと!」と思った。

 でも、その言葉が、ぐるぐる回った。じっと、ずっと考えた。
そして、私は立ち直れた。そう、わたしは自由だった。なぜ? 
それは、天国に旅立った私の子ども達が、自分の命と引き換えに、私に時間をくれていたからである。
わたしの時間は、彼らの命の時間だった。その時間を無駄にする事はできない。と思った。
 そして、私は「もし、彼らが生きていたら。とか、彼らは本当は・・・・・」と言うことを考えることをやめた。
それは、私があの世に行ったとき、彼らに直接聞くことにした。
今は、どんなに悩み考えても、答えはでない。
私は、今、生きている。生きている間は、彼らの命の時間を十分に生かし、この世の事をやらなきゃね。

そう気持ちを切り替えてしばらくして、K子が生まれた。
K子は、この世を生きる子だった。
これでもか、これでもかと、お兄ちゃん達の時間を使ってくれた。

私は、あの世に行っても、しばらくは忙しい。だから、あの世の事は、あの世で。
この世の事は、この世で。
この世もまだ長い。やっぱり136歳までなのかな? 

先日、八女郡黒木町の大藤祭りに実家の母を連れて行った。
父が他界する前と後に、大腿骨を片方ずつ骨折し、手術。今は車椅子の生活である。
花は良い。母と姉と私と3人で、ゆっくり、ゆっくり花を見て回った。
ただ、それだけだが、とても豊かで幸せなひと時だった。

きっとあの世はあると思うことにしている。だから、土産話は多い方が良い。
ときどき空を見上げて、気合をいれる。「私は、元気だ。だから、安心して良いよ。」と話しかける。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回のコラムで、マッキーの当番?は、終了。次は、誰が登場されるのかな?
気軽に引き受け、四苦八苦・・・・、文章を書くのって、難しいですね。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
それでは、みなさん、ごきげんよう〜〜〜〜〜!!!

(田川地区子育てネットワーク『たんたん』 マッキー)

投稿者 Kosodate : 2006年04月29日 10:21

コメント

このコラムを読むと涙が止まりませんでした。わが子も生まれてすぐ、緊急入院した経験があって、その時のつらかった記憶とだぶってしまったんです。でもマッキーさんのコラム、嬉しかったです。みんないろんなことがあるけど前向きに生きていることを教えてくれたから。ありがとう!

投稿者 reiko : 2006年05月01日 21:52



reikoさんコメントありがとうございます。最後に重たいこと書いてしまったと、反省とも後悔ともつかない思いでいたので、「嬉しかった」と書いていただいて、私も嬉しかったです。私が書いた文章、言葉の足りないところがいっぱいあるんですけど....。
誰もが今までの経験があって、今のその人があるんですよね。楽しい経験も辛い経験も、その人にとっては、必要なものなんでしょうね。
私は、天国にいる子ども達は[落ちこぼれ天使]だったのかな?とも思っています。この世は修行の場。ちょっと落ちこぼれの天使達は、ちょっとこの世で修行しなければならなくて....。ちょっと修行したら天国に帰れる。と。そう考えると、私は、天使の母です。
自分がいろいろ経験して、やっと、誰にでも「一見しただけでは分からない深いものがある」と思えるようになりました。そして、それまであまり関心を持たずに甘えていた、祖母や母など身近な人たちの歩いてきた人生をあらためて聞き、その深さ・辛さも知りました。ありがたいことだと思います。
今回、子育てリレーコラムに参加させていただけたこと、そして、おそらくお会いした事も無いであろうreikoさんと、こうして交流していることも、すごい経験です。本当にありがとうございます。
私は、楽しい事が好きです。笑う事が好きです。ふれあうこと、語り合うことが好きです。いつまでも、その部分は大切にしていきたいと思っています。

投稿者 マッキー : 2006年05月02日 07:57



楽しい事が好き。笑う事が好き。
私も2人の子を失った。自分も死にかけた。母も看取った。
でも、今3人の娘とダンナ様に支えられて、たくましく生きてま〜す。

ほ〜んと、命って、いつ終わるかなんて、分からないし、人生笑ったもん勝ち!ですよね(笑)

楽しかったです。ありがとうございました!

投稿者 mina : 2006年05月03日 10:39



minaさん、コメントありがとうございます。
やっぱり、いろんな人が、いろんな深い人生を歩いているんですね。天国に行った子どもの事って、話題にし辛いから、黙っちゃって、引きずってしまうのかもしれません。
minaさんのコメントに元気をいただけました。ほんとうにありがとうございました。
私も、たくましく生きていきます。って、もう、充分たくましいんですけどね!!!!!

投稿者 マッキー : 2006年05月04日 20:30



毎回楽しく読ませていただきました(^^)最後の「命」には、私自身、今、葛藤があり、マッキーさんの気持ちが何となく解るような気が少しします。我が家には4人娘がいて、生きてればもう一人いたはずです。流産でした。周りは、子供がいるから、流産した子は忘れなさいと言われ続け、なかなか立ち直れないでいると、叱られました。今でも思うのは、生まれてきた子と、できなかった子を一緒にしないで欲しいという事です。そして、流産した後に生まれてきた子が、大腸に腫瘍の疑いがある事です。せっかく生まれてきて、2才から原因不明の病気で入退院繰り返し、やっと3才の誕生日を迎えたら、腫瘍の疑いと言われ、どんなに痛く辛い検査でも、泣き暴れる事なく、黙って耐えてる姿見てると、考えさせられます。何の為に生きてるのか、やっと3才になったばかりなのに、どうして辛い思いばかりさせてしまって、申し訳ないと思う日々…こんな事なら、生まなければ、辛い事ばかり味わう事なかったのに、何で生んでしまったのだろうと毎日葛藤しています。娘は検査前後も、絶対笑顔で私を見てます。検査や点滴では泣いたとこ、一度も見た事ないのです。不思議に思い尋ねました。彼女は「お母さん好き」と一言返ってきました…たぶん私が心配してる顔見せてるからでしょう…余計辛いです。毎日笑顔でいられたら…と思い続ける日々と家に居る3人娘に淋しい思いや我慢させて申し訳ないと思う毎日です(T_T)いつも心強くなりたい…辛い時こそ笑顔でいる母になりたいと思ってます。とても難しいですね(;^_^

投稿者 女系家族 : 2006年05月10日 18:13



あ〜〜っ、辛いなあ〜!辛い時こそ笑顔でいる母・・・か!難しいなあ。
私が女系家族さんの立場だったらどうするんだろう?母として出来る事は・・・・?
痛くて辛い検査を頑張った子をただ抱きしめ、大好きだと言う事を伝える事。良く頑張った、あなたはお母さんの宝物だと伝える事。抱きしめながら涙を流しても良いと思う。だって、子どもが痛い思いをするのは、自分がいたい思いをするより辛いんだもの。
ただ、生まなければ良かったって、考えないで!3歳のお子さんは、生きているんだもの。頑張ってるんだもの。そして、お母さんのこと大好きなんだもの。生まれなかったら、大好きっていう気持ちも生まれないんだもの・・・・。でも、辛いよ〜。ほんとに。
ごめんなさい、そんなことしか言えない。
上の3人のお姉ちゃん達は、寂しいかもしれないけど、3人いるから、きっと大丈夫。
お姉ちゃん達は、3歳のお嬢さんに「生きる」って事を習っているのかもしれない。姉妹の絆を創り上げているのかもしれない。
女系家族さん、あなたは、娘さんたちに、姉妹っていうすごいプレゼントをされたんだから。きっと大丈夫。
子ども達を信じよう。生きる力を信じよう。
生きている以上、いつかは死ぬ。あたリ前のこと。だから、みんな、死ぬまで生きなきゃ。と思います。

投稿者 マッキー : 2006年05月10日 22:47



女系家族さんへ
ごめんなさい、もう一つ、流産されたお子さんの事。

私は、流産した子や幼くしてあの世にいった子は、天国にいると信じています。だって、この世で、何ひとつ悪い事なんかしてないんですから、天国以外いくところは無いじゃないですか!私は、そう思います。
私は、何かひとつの宗教を信じているというわけではないのですが、それでも、あの世はあると思っています。
忘れることは出来ません。だけど、きっと天国で幸せに過ごしていると思うことは出来ます。だから、そう信じて、無力な母は、この世の子ども達の事に全力を尽くそうと思うのです。

投稿者 マッキー : 2006年05月10日 23:48



こんにちは。いつも元気印のマッキーさんの姿しか知らなかったので、久しぶりにblogをのぞいて、腰が抜けかけました。
みんな笑顔の下にいろんな想いを隠して?生きておられるんだと、改めて考えさせられました。いろんな哀しみや苦しみを乗り越えてきた方だからこそ、他人に優しく微笑むことが出来るんですね。私もいつも励まされています。
実は、私も…いやいや、それはそれで大事にとっておきましょう。確かに、私も宗教を信じているわけではありませんが、あの世はあって、みんな幸せに暮らしているんだと思います。全ての子どもが救われて、きつい縛りや痛みから解放される…そんな天国があるんだと信じています。マッキーさんも136歳を過ぎたら訪れることになるのでしょうか。向こうでも、楽しく紙芝居なんかしてくれそうですね。私、飴売りしますよ。

投稿者 塩豆大福 : 2006年05月11日 14:55



塩豆大福さ〜ん、抜けかけた腰は治りましたか?
って、ねえ、あなたはだ〜れ? うう〜〜〜っ、分からない!! 
でも、天国で飴売りする人だと言うことは、只者ではないな?? しかし、飴売りまで付くということは、紙芝居もプロでなければ・・・・。 うわっ! 練習しなくっちゃね。 でも、その練習は、天国に行ってからでも間に合うよね。うんうん、そうよね!
と言う事で、塩豆大福さん、コメントありがとうございました。ねえ、あなたはだ〜れ????

投稿者 マッキー : 2006年05月11日 22:14



コメントしてください




保存しますか?


Copyright© 2005 Fukuoka Prefecture. All Right Reserved.