第2回 非行(不幸)少年と愛情の水やり

平成27年4月15日

 私が出会った非行少年の中に、特に忘れられない少年がいます。

 当時18歳だった少年は強姦罪で逮捕され、少年院に送致されました。彼の犯した罪は重大で、行為は決して許されるものではありません。ただ、少年を凶悪犯罪へと駆り立てた背景には、余りにも不幸な境遇がありました。

 彼は、この世に誕生する前から、DV夫の子として母親に憎まれ、誕生後は酷い虐待を受けて育ちました。ある時、少年院から届いた彼の手紙に「半分でいいから、母親に愛されたい」(母親は父親を憎んでいるが、自分の中には母親の血も半分流れているから)と、母親の愛情を求める思いが切々と綴られていました。

 どの子も最初から非行少年だったわけではありません。虐待や劣悪な家庭環境、そして多くは愛情の掛け違い等、不幸な問題を背負った子ども達が、非行少年ではなく、不幸少年になるのです

 大切な子ども達を不幸少年にしないために是非注意して頂きたいことが「愛情の水やり」です。私は親達に子どもへの愛情の掛け方を「植物の水やり」に例えて伝えます。植物に水を与えなければ、根っこは乾いて枯れてしまいます。また、反対に水や肥料を与えすぎると根腐れして、やはり枯れます。子育ての愛情の水やりについて、虐待や放任など、子どもに愛情を注がなければ心は乾き、また、過干渉や過保護、親の価値観の押し付けは心の根腐れを起こし、どちらも心の根っこは傷みます。子どもの心身の健やかな成長には、親や大人達の適切な愛情の水やりがとても大事なのです。

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