第1回 問題行動の根っことは

平成27年3月12日

 私はよく、本来「普通の子ども」 いえ、むしろ素直でやさしい子どもだったわが子の、全く予期せぬ「まさか」の非行や問題行動に戸惑い、苦悩する親たちから、「一体なぜ?」と、問われることがあります。

 この問いに対して、私が担当した子ども達との関わりから確信していることは、

問題を起こす子どもは、必ず問題(家庭環境・親子関係・被害体験等)
を抱えている子どもである。

ということです。

 私が見てきた「問題行動の根っこ」とは、子どもが誕生し、現在までの成長過程において、出すべき時に出すべき人に出せないまま、ずっと一人で抱え込んでしまった「不安や寂しさ」「怒りや悲しみ」でした。
特に非行少年は「自分の居場所がない」「自分はだめな人間だ」と孤独と自己否定で自尊感情が欠落し、心が傷んでいます。

 それはなぜでしょう。

 私たち親は、子育ての中で我が子から発せられている心のSOSに気づいているでしょうか。そして、サインを受け止め、きちんと応えているでしょうか。子どもが寂しさを訴えても、「甘えるな、我慢しろ」また、不安を訴えているのに親への「不満」として受け取り「わがままだ」「反抗ばかりする」と、心のSOSをはねつけます。すると、子どもは親に対して不安や寂しさをだせなくなり、心の中に抱え込んでいきます。この出口のない負の感情が自尊心を傷つけ「悲しみや怒り」へと姿を変えて、ある時期にさまざまな問題行動として表出しているように思います。

 「問題行動の根っこ」への親たちの理解が、問題行動の予防、または解決への一歩なのです。

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