思春期とは

平成25年1月7日

 思春期という時期は,身体的にも心理的にも,一生のうちでもっとも変動のはげしい時期です。身体的には急に体が成長し,性ホルモンの分泌が盛んになり,内分泌系・生殖器官が成熟します。その結果第二次性徴があらわれ,男の子は男性らしく,女の子は初潮を迎え女性らしい体つきに変化していきます。同時に異性への関心が高まる時期です。年齢的には個人差がありますが,小学校高学年から高校低学年位で,男の子は女の子より少し遅れる傾向にあります。

 またいわゆる「第二次反抗期」「心理的離乳期」として親への依存と独立の間をゆれ動く時期です。反抗期については次回で詳しく述べたいと思いますが,親に反抗することで,親離れしていく時期です。しかし現代のように子どもの数が少ないと,子どもも親離れできず,親も子離れしにくい場合があります。エリクソンという心理学者は,思春期とその後に続く青年期は,子どもが自らの自己同一性 (アイデンティティ)を確立する有用な時期といっています。アイデンティティとは、「自分とは何か」という感覚であり,「これこそが自分である」(自己確定感),「この自分でよい」(自己肯定感),「今後もこの自分でやっていける」(自信),「自分は社会にとって意義のある存在だ」(自己有用感)という感覚が集まったものです。この時期に自分の心と体のアイデンティティがしっかりできていないと,真の大人になっていけません。

 アイデンティティができるためには,自分を写し出す鏡が必要です。鏡にあたるのが親であり,仲間です。自分の言動を親や仲間に照らしてみて,その反応や評価で自分自身のアイデンティティを作り上げていきます。

< 前の記事     一覧へ     後の記事 >