~親と子の円滑なコミュニケーション~親子のコミュニケーション(その2)「子どもの気持ちを受けとめるには」

平成19年12月3日

 Cさんには中学生3年生のE子ちゃんがいます。ある日、E子ちゃんと話しをしている時に、「小学校の頃に、或る事でお母さんからひどく怒られたことがあって、それを今も引きずっているの。」と打ち明けられました。
 そのことについては怒ったことも言ったことも親として当然のことだったと今でも思っています。それを傷ついたと言われても、こちらは悪くはないし、改めて謝まろうという気にはなりません。でも、E子ちゃんから責められているようで、こんな時どうしたらいいのかとCさんは迷っているようでした。

 親として当たり前のことを言ったとしても、感情的になると言わなくていいことまで言ってしまうことがあります。そのことで、子どもの心を傷つけることもあるかも知れません。親も生身の人間ですから、時にはそういうことがあっても仕方がないと思います。
 しかし、そのことでE子ちゃんが傷ついたのも事実です。中学3年生になり、ようやくあの時の気持ちを母親に言葉として伝えることができるようになったのだと思います。その気持ちを素直に受けとめてあげられれば、E子ちゃんはどんなにか癒されるのではないかと思いますが、そこがなかなか難しいところです。

 なぜ難しいのか?Cさんも言っているように、「こちらは悪くない」と思っているからではないでしょうか。E子ちゃんは「お母さんが悪い」とは言っていないのです。「あの時言われたことを今も引きずっている」と言っているのです。「謝って欲しい」とも言っていません。良いのか悪いのかで聴くと、謝るのか謝らないのかを考えてしまいます。
 E子ちゃんは、あの時に本当に悔しかった、苦しかった、或いは寂しかったに違いありません。だからこそ、未だに引きずっているのです。今、E子ちゃんが求めているのは、その時の気持ちを受けとめてもらいたいだけなのではないでしょうか。「そうだったんだね。辛い思いをしたんだね。」と親に気持ちを受けとめてもらいたいのだと思います。そうすれば、子どもの中にあった長い間くすぶり続けていたものが癒されるのではないでしょうか。親への信頼感はこのようなコミュニケーションを経て築かれていくように思います。

教育文化研究所

< 前の記事     一覧へ     後の記事 >