~少年非行~第4回「こどもたちにも忍び寄る薬物」(金田律子さん)

平成19年8月3日

 子育てパーク第4回目を担当します、福岡県警察少年課(福岡少年サポートセンター)少年育成指導官の金田律子です。

 梅雨明けとともに、こどもたち待望の夏休みに入りました。少年サポートセンターでは、この長期の休み前に小学校高学年から中学、高校生を対象とした「薬物乱用防止教室」を実施し、多くの学校を訪問させていただきました。この講座の第1回目でも触れましたが、福岡県は平成18年中におけるシンナー乱用少年の検挙補導人員が全国ワースト1位(7年連続)であり、覚せい剤についても全国ワースト2位でした。薬物は思いの外こどもたちの身近なところまで忍び寄って来ており、遠い世界の出来事ではないことを保護者や地域の方々にも知っておいていただきたいと思います。

 シンナーは、その気体の吸引等で体内に入ると酩酊状態(酔っぱらいのようになる)を引き起こし、大量吸引すると死亡する場合もあります。強い依存性があり、繰り返し乱用するうちに「脳の萎縮」が起き、取り返しのつかない健康被害を残します。覚せい剤も同様に依存性が強く、中枢神経が興奮し、幻覚や妄想が起きるようになります。薬物は人の正しい判断能力を奪い、重大な事故や犯罪を起こしたり、薬物欲しさに恐喝や窃盗などの事件を起こすこともあります。

 薬物乱用のきっかけは、友達や先輩など「知った人から」誘われて始めたものが多く、「やせるよ」「疲れがとれるよ」「一度だけなら大丈夫」など巧みな言葉に戸惑うこどもたちもいます。こどもたちが薬物についての正しい知識を持ち、少しでも危険を感じたら「逃げる」「きっぱりと断る」ことができるようにしておきたいものです。また、薬物をすすめられるなど困ったときには、すぐにおうちの方や学校の先生、警察などに相談するようにしましょう。

 すべてのお子さんが、事件事故に遭うことなく、元気に新学期を迎えてほしいと思います。
 

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