上村 初美 先生

「優しい子どもに育つために」

平成23年8月29日

赤ちゃん誕生!! おめでとう!!
元気のいい子どもに育ってね! 明るい子どもに育ってね! 世界一幸せな子どもになってね! 優しい子どもに育ってね! 思いやりのある子どもに育ってね! などなど・・・初めて親になった私たちの思いはさまざまです。
生まれてきてくれてありがとう!・・・
元気すくすくが一番。 えっ?じゃぁ 「優しい子どもに育つ」ってどうすればいいの?こんな素朴な疑問が湧いてきました。
 私の勤務する保育園は、0歳~就学前(6歳)・高齢者通所型のデイサービス・グループホームの大きな一つの屋根の下で、交流し合いながら色々な体験をして毎日楽しく暮らしています。日頃の保育の場面から『~優しい子どもに育つために~』のテーマを考えていけたらいいなと思います。
◎~七夕笹飾り作りの場面から~
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・1歳児クラスの事例
(七夕のこよりは、毎年デイサービスのおばあちゃんたちの手作りです。ちなみにお願いごとの短冊は一度家庭に持ち返り、家族みんなで考えてきます。)

 

‐7月4日の保育士の日誌から‐
七夕飾りにこよりをつけてあげると、喜んでこよりを持って歩いたり友だちを覗き込んだりする子どもたち。(保)「こよりは、おばあちゃんたちが作ってくれたよ」と話すと、(子)「おばあちゃん」とオウム返しに似た言葉が返ってくる。(保)「そうよ。ありがとうって言いに行こう!」と誘い、デイサービスの部屋を訪問すると、笑顔でおばあちゃんたちに迎えられ「上手ね!」とたくさん褒めてもらいました。子どもたちは、自分も褒めてほしく、友だちの飾りより自分の飾りを持った手を高く上げて声を掛けてもらおうとしています。子どもの方から自分の作品を見てほしくて、おばあちゃんたちに関わろうとする姿が見られて嬉しく思いました。

 

・よちよち歩きの1歳児の気持ちがお分かりでしょうか?褒める
「上手ね」って褒められて、「私も、私も」って認めてもらいたい気持ちと、認めてもらって嬉しい気持ちでいっぱいです。そして、その気持ちは次に褒めてもらうために「またやろう」という意欲をも駆り立てるのです。小さな子ども(1歳)だから、分からないのではなく、もうこの姿は意欲や優しい気持ちの芽生えの姿なのです。そして、何よりも周りの大人がこの気持ちに気づくことが大切です。ちゃんと目をみてしっかりと褒めて「上手ね」を共感してあげて下さい。こんな気持ちの積み重ねが出来て、5歳児の事例では写真のように、『してもらう』から『人の役に立つ喜び』へと成長していくのです。同時期にグループホームを訪れた子どもたちは、「おばあちゃん、一緒に七夕飾りを作ろう」と声をかけ、「おばあちゃん、そこは半分に折るんよ」と、手本を見せたりします。おばあちゃんは「ほんとね、上手ね」「そういえば、こんなんしよったね」と嬉しそう。同じ作業をしながら「かわいいね」「お名前は?」「べっぴんさんになるよ」「べっぴんさんって何?」と、会話は弾んでいます。そして、一緒に七夕飾りを作りあげました。
1歳児の時には『してもらうよろこび、褒められるよろこび、共感するよろこび』等から、5歳児に成長するにつれ、いろいろな体験を積んで「ありがとう、上手ね」など感謝の言葉をたくさんもらって『人の役に立つ喜び』を味わうことができるようになります。そこには、人に認められ、褒められ、意欲を持ち、人の役に立つ喜びを知り、「自分もまんざらではないぞ」という自信がついてくるのでしょう。こうして優しい気持ちや自尊感情の高い子どもたちが育っていくのだと思うのです。