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第2話 心に残る一冊 (浦塘 直実/うらとも なおみ)

2009年11月11日

 絵本講師としていろいろな方にお会いしたり、それまで幼稚園の先生という立場でお付き合いさせていただいていた方々から、「絵本」や「本」に関する様々なエピソードをお聞きする機会に恵まれています。
 その中で、“心に残る一冊”というのをどなたもお持ちであるということを知りました。
あるお母さまは、ご自身が子どもの頃に読んだ一冊の本に心を動かされたことで、お子さん二人にも「本」がもたらす心豊かな喜びを伝えたいと小さい頃より絵本の読み聞かせをなさってきたそうです。
そのお子さんも、今はたくさんの本を読んでいらっしゃるとか。

 また、ある男性は中学生の頃に国語の教科書に載っていた一節がずっと心に残っていて、その後の人生の座右の銘になるぐらい魅了したことばだったようです。そして、誰の作品か作品全体を読み返してみたい!という気持ちが、何十年もの間くすぶっていて、やっと図書館で作品名を知り再会したことを“最愛の恋人との再会を彷彿させるものだった”と語ってくださいました。とてもロマンチックなお話だと思いませんか。

 最近は、こんなお話も伺いました。小さなお子さんがいらっしゃるお母さまで、絵本の話をしながら、いつしか自分達の子どもの頃の絵本へと話題が移っていきました。すると、「実は私は母子家庭で育ちました。母は『あなたが大きくなって結婚するときに、何もしてやれないかもしれないけど、この絵本のセットをお嫁入り道具に持っていってね』と買ってくれたんです。その絵本のセットは結婚するときに持ってきました。今でもずっと大事にしているんですよ。」と。心あたたまるお話に熱いものが込み上げてくる思いでした。
 すてきなお話の数々に「本」にまつわる心豊かな人生を垣間見た気がします。

「もりたろうさんのじどうしゃ」(ぶん・おおいし まこと/え・きただ たくし/ポプラ社) 私はといいますと・・・小さい頃に母親からたくさんの絵本読んでもらったことがすごく心に残っています。大好きだった絵本は“もりたろうさんシリーズ”です。「もりたろうさんのじどうしゃ」「もりたろうさんのひこうき」(ぶん・おおいし まこと/え・きただ たくし/ポプラ社)に大人になって再会したときに、なんとも言えない懐かしさに、まるで小さい頃にタイムスリップしたような心躍る気持ちになりました。

 そして、更に記憶をたどっていくと見えてくる一冊、それは「フランダースの犬」でした。最初に読んでもらったときのある一部分だけよく覚えているのです。母は、いつものように私に読み進めていきました。しかし、突然涙声になったのです。私は、どうして泣いているのかよくわかりませんでした。ただただ驚くばかり。
「どうして泣いているの?」とたずねると「だって悲しくて・・・」と声を詰まらせました。
幼心に『悲しい』という気持ちはこういうことかなぁ〜と衝撃的なひと時と記憶しています。
その母も亡くなり、今はこうして幼い頃にいつも一緒にいて、たくさんの物語に出会うきっかけを作ってくれたことにとても感謝しています。

 心に残る一冊や思い出があるということは、生きる糧にもなるということや優しさを育んでいくものだと思います。皆さんにもきっとあるはずです。心に残る一冊が。
日頃は忙しさに忘れてしまっているかもしれません。思い起こしてみてください。それとも、これから心に残る一冊と巡り合うのかもしれませんね。

(NPO法人「絵本で子育て」センター 絵本講師 浦塘 直実/うらとも なおみ)

投稿者 Kosodate : 2009年11月11日 11:20

コメント

またしても一番乗り〜w
私の一番心に残ってるお話は、「ラプンチェル」と「小人と靴屋」です。私が3〜4歳のころ、今は亡き祖母が毎月1冊ずつ(全巻で12冊くらいかな)送ってくれた童話の中のお話です。いっぱいある中、いつもその本ばかり読んでいました。ラプンチェルの長い髪に憧れ、又靴屋さんが最後に小人のために作ってあげた小さな靴等が好きでした。
その後、童話集は私の弟→いとこへと回っていきました。なつかしいです・・・

投稿者 陳さんの蒸しパン : 2009年11月13日 00:19



残念ながら私には、心に残る一冊が思い浮かびません。教科書に出てくる物語など、感想のある本はいくつかあります。自分が子供の頃は絵本との出会いが少なかったです。子供に聞いてみると好きな本は「ぐりとぐら」シリーズだそうです。幼稚園の先生が読んで下さったそうです。よかった。。だから私はこれからです。今、子供と絵本を開くようになりましたので、これから素敵な一冊にめぐりあえるだろうな・・・

投稿者 mayumi mama : 2009年11月13日 16:39



心に残る一冊…いろいろあるんですが、小さかった頃の一冊は、自営業で忙しかった母が、唯一の休憩時間(下の子へのおっぱい)に読んでくれた童話「ちいさいモモちゃん」シリーズです。もたれた母の温かさ、姉と一緒にわくわくしながら見入った絵。そのぼろぼろになった本を、今では自分の子ども達と一緒に楽しんでいます。

投稿者 もみじ : 2009年11月14日 10:31



みなさん何かしら「心に残る一冊」があるのですね。

本来、絵本が大好きでしたが幼稚園に勤めるようになり、さらに絵本の素晴らしさに気付きました。
子どもたちと共に楽しむ事で子どもたちとの心の距離が近づいていくのを実感しました!!!

絵本って、心の栄養ですね☆

投稿者 白いうさぎ : 2009年11月16日 12:14



陳さんの蒸しパン様 コメントありがとうございます。
小さい頃というのはピュアですから、心を動かされた物語ってずっと心の残っていきますよね。まるで、自分が主人公になったつもりになるなどの、たくさんの疑似体験は幸せなことだと思います。
また、本をプレゼントして下さったお祖母様もすてきですね。

投稿者 浦塘 直実 : 2009年11月16日 23:59



mayumi mama 様 コメントありがとうございます。
きっとこれから「心に残る一冊に」巡り会えますよ。
お子様にとっては、お母様との絵本の読み聞かせ一冊一冊が心に沢山刻まれていっているんでしょうね。とてもすてきです!お子様とのこうしたほとときから巡り合うのかもしれませんし、お母様おひとりのひとときに巡り合うのかもしれませんね。
楽しみにしてて下さい「心に残る一冊」との出会いを。

投稿者 浦塘 直実 : 2009年11月17日 00:07



もみじ様 コメントありがとうございます。
小さい頃のすてきな思い出がある「本」を今もお子様と一緒に楽しんでいらっしゃるなんてすばらしいですね。
「本」を開くとお母様自身の思い出がよみ返ってくるでしょうし、お子様も今このひとときが思い出として、心に刻まれていくことでしょうね。
2世代に渡って読みつがれている「本」自身も喜んでいますよ きっと!!

投稿者 浦塘 直実 : 2009年11月17日 00:12



白いうさぎ様 コメントありがとうございます。
子ども達との読み聞かせは、私達にとっても、心の栄養をたくさんいただきましたね。忘れることのない10年間になりましたね。

投稿者 浦塘 直実 : 2009年11月17日 00:16



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