~今、子どもたちのために大人が始める事~第2回「子どもたちの学力について」

平成19年12月3日

 「学力の二極化」「学びから逃避する子どもたち」と、子どもたちの学力について危ぐする言葉を多く耳にします。実際、塾まで通って遊びも睡眠も削っている層もあれば、テレビ・ゲーム・携帯・パソコン【四点セット】に興じて睡眠を削り、家庭学習なしの層も増えています。 かつての「よく遊び、よく学び、よく眠り、朝食をしっかり食べてくる。」一番人数の多かった層の子どもたちが、少なくなってきているようです。
 私たち親としては、「見える学力」を支える「見えない学力」を充実させること、「環境面」で子どもたちに協力できることがあると思うのです。

まずは、生活リズムです。
「早寝、早起き、朝食」これは、県民運動にもなっています。睡眠は小学生には8時間はしっかり保障したいですね。睡眠は、体と心と脳に休息と元気を与えてくれます。寝ている間に脳は、いろいろ覚えたことを整理してくれたりもするそうです。炭水化物、たんぱく質は脳を活性化させてくれるし、ほら、こう考えると、「早寝、早起き、朝食」は見えない学力を育ててくれる運動でもあるのです。私が青年教師であった時代は、「先生おはよう」と元気な声が学校にこだましていました。子どもたちの寝不足、気になります。

次に家庭学習です
 小学生のころに、「読み・書き・計算」をしっかり定着させたいですね。学力が厳しい子は、頭が悪いのではないですよ、時間がかかるのです。今日やったことをもう一度違う時間にやってみると「先生できた、なるほどこういうことか。」となり、その笑顔がたまらないものでした。かつて学校は今ほど超多忙ではなく、「放課後もう一回先生教えて」と子どものリクエストに答えられていました。時間を生み出すのに先生方も苦労しています。
 だから、家に帰ってちょっとだけでもいいのです。反復すると定着していきます。声に出して音読することもいいですね。 仕事帰りですぐ夕食づくりと慌ただしい時間でも、「ごはんつくるから、じゃあ、今日、学校で勉強した所、教科書読んで聞かせてよ。」「むすかしい勉強してるんやね。すごい。」こんなやりとりでも、子どもはうれしいんです。

要は、どう時間を使うかです
 子どもたちが子ども時代を何に時間を費やすかは親として注意したいですね。先の四点セットにばかり時間を使うのではなく、外で元気よく遊んで欲しいし、家の手伝いだって大切です。家庭学習の時間も生み出せるのです。
 テレビとゲームだけで3時間も4時間も費やすのはいい時間の使い方とは言えないですね。

次に、「子どもの学ぶ意欲を喚起する社会」について
努力をすれば・・・
 かつて、貧しくても、裸一貫の子でも、努力で自分の夢を現実にしていった姿を目にすることが多かったですね。今は、政治家も芸能人も二世三世、よく見かけます。親の学歴と経済力があればその子どもも・・・。固定化されたらいけないですね。裸一貫の子にも努力をすればチャンスはあるんだという希望社会を失ってはいけないと思っています。

フィンランドの合い言葉
 学力世界一と言われているこの国は、「一人の子も落ちこぼさない。」という教師間の合い言葉があるそうです。補講、留年、わかるまで教えるねばりがあります。学力が厳しい学校から優先して予算措置もあるそうです。学ぶべきヒントがありそうです。

最後に映画『学校』について
 何らかの事情があって義務教育を受けられなかった人が夜勉強に通ってくる「夜間中学」。
山田洋次監督のこの名作を私は一人芝居で演じています。50を過ぎて、読み・書き・計算をとりもと゜す田中邦衛さん演じるイノさん。「火気厳禁」が読めなくて危険にさらされたことも、運転免許をとるのが夢だった、「もう一度、学びたい。」とやってくる。人は、本来、学びたい、新しいことを知ることをこのうえなく喜ぶ、存在なんだと思います。

 子どもたちが「わかった。できた。おもしろい。おれなかなかじゃん。」と喜々として日々を過ごせるよう、私たち大人が始めることを考えていきたいものです。

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