3 保護者が手本となる

令和元年6月21日

 これまでの話で、メディアが人に大きな影響を与えることをお伝えしました。その影響から子どもを守るために、子どもをメディアから遠ざける必要がありますが、その前に保護者はするべきことがあります。それは、保護者自身がメディアを遠ざけることです。そうすべき理由は2つあります。1つは、メディア漬けの保護者は子どもの健やかな成長の妨げになるからで、もう1つは、保護者の言動に一貫性が必要だからです。

 米国の保育園で園児を迎えに来た保護者に対して「スマホを放しなさい」との張り紙がされたことが話題になりました(2017年)。米国の小学校教員が2年生に対して、作られなければ良かった発明品について作文させたところ、21人中4人がスマホをあげ、「ママのスマホがきらい。なくなればいい」と書いています(2018年)。日本でもスマホを使い続ける母親をよく見かけます。一緒にいる子どもは母親と話もできず一緒に遊ぶこともできず、母親から声をかけられるのは叱られるときだけです。保護者がスマホ漬けになると、子どもとの正常な関わりができなくなり、子どもの健やかな成長の妨げになることが、世界中で問題になっています。これが1つめの理由です。

 保護者が一貫性のない言動をすると、子どもは敏感に察知します。それが尾を引くと、思春期に保護者をバカにするようになってしまいます。たとえば、子どもの前で平気でタバコを吸う大人が、子どもに喫煙はダメだと言っても一貫性がありません。それと同じで、スマホ漬けになっている保護者が、子どもにスマホの使い方を考えなさいと言っても一貫性がなく、全く説得力がありません。これが2つめの理由です。

 保護者は、子どもの健やかな成長のために、そして自分の言動に一貫性を持たせるために、スマホやSNSとの関わり方、距離の取り方をしっかりと考えて実行し、それを子どもに示す必要があります。保護者の言動は、常に子どもの手本となっています。

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