知っておきたい!子どもの自立の第一歩 ~「安心の土台」が不安定な時とは~

令和7年10月15日

 前回は、アタッチメントの「安心の土台」の作り方についてお伝えしました。では、もしこの土台がうまく築けないとどうなるのでしょうか。今回は「不安定なアタッチメント」について考えてみましょう。

 アタッチメントが不安定な場合、子どもは「助けを求めても応えてもらえないかもしれない」と感じることがあります。すると、必要以上に泣いて注意を引こうとしたり、逆に甘えることをあきらめて感情を抑え込んだりします。また、甘えと攻撃が混在したような予期できない反応を示すこともあります。どれも、子どもなりの生きるための工夫なのです。

 このような経験が続くと、「人に頼るのは怖い」「自分なんてダメだ」といった気持ちが芽生えやすくなります。幼児期に形成された関係のパターンは、心の癖となって残り、大人になってからの人間関係にも影響します。相手に過剰に依存したり、逆に距離を取りすぎたりするのも、その延長にあるかもしれません。けれども、子どもが本当に求めているのは“完璧な親”ではなく、“自分を見てくれる人”です。

 たとえ一時的に不安定な時期があっても、気づき・受け止め・寄り添うことで安心は取り戻せます。大切なのは、“親の責任”というより“経験の積み重ね”や子どもの気質・性格も関わっているということ。どんな人でも完璧な対応はできません。もし「思い当たるかも」と感じても、遅すぎることはありません。安心を取り戻す関わり方は、いつからでも始められるのです。次回はその「回復」や「修復の方法」についてお伝えします。

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