令和7年12月18日
お子さんがスマホやゲームをなかなか止めようとせず「早く宿題しなさい!」と何度も声をかけないといけない経験をされている保護者さんは多いと思います。
デジタル機器の使用は脳の働きに変化を起こすことがわかっています。脳の変化によって「使い過ぎ」が起こり、「使い過ぎ」によってさらに脳が変化してしまいます。子どもの脳は成長の途中ですから、心と身体の中枢である脳への悪影響が特に心配です。
スマホのように触るとすぐに反応があること(応答性)は脳にとって強い刺激になります。
子どもはエレベーターのボタンを見ると、押せばつくだけなのに夢中になります。この時に脳の中ではドーパミンという、脳が“ご褒美”と感じる物質が出ていて、これを繰り返したくなります。覚せい剤やニコチンなどと同様に、スマホやゲームではドーパミンが出すぎることでドーパミン神経が弱ってしまい依存症になる可能性があるのです。
ルールを作っても守れなくなるのは、脳への刺激が強いからです。なにしろスマホやオンラインゲーム、動画サイトは刺激が強すぎます。アナログのおもちゃの場合、取り上げても取り上げても諦めず何日も騒ぐようなおもちゃはあるでしょうか。
自分の行動をコントロールできるはずの大人でもスマホやゲームはなかなか止められないものです。そもそも子どもは成長の途中で自制心がまだ育っていないのでなおさらです。小さな子どもを歯医者に連れて行くことを想像してみましょう。きっと簡単ではないと感じるはずです。子どもたちが家庭で作ったルールを守れるなら保護者は苦労はしないのではないでしょうか。
ルールが守れなくなっていく理由はドーパミンへの刺激だけではありません。「がまん」や「先のことを考えて実行する」時に働く脳の部分も弱ってしまう可能性があるのです。次回は、考える脳の中枢“前頭前野”についてのお話です。
参考情報:アンデシュハンセン著、久山葉子訳「スマホ脳」新潮新書
スマホ依存防止学会ホームページ











