4.子どもたちをデジタルから守るには

令和8年3月19日

 子どもからスマホやゲームを「買って」「使わせて」とせがまれると困りますね。そんな時は、“動機づけ子育て(Motivational Parenting; MP)”という、反発を最低限にしながら子どもの変化と成長をサポートする会話のやり方があります*。まずは子どもの気持ちを否定せずに聴き、子どもの考えや行動の良いところは認めます。その上で親としてゆずれないことについて、感情的にならず誠実な態度でその理由や親の気持ちを伝えます。

 ただMPで対話をしても、デジタル機器を使っていれば脳は変化してしまうので、初めは約束が守れても前頭前野が障害されるにつれて約束が守れなくなり、不満をしつこく訴えたり暴れたりするようになることもあります。そうなったら、話し合うよりもデジタルから離して脳を休ませること(タブレットを学校に返したり**、デジタルデトックスなど)も考えなければなりません。

 子どものスマホやSNS規制の法律ができた国がありますが、そこまで必要なのだろうか、と疑問に思う方もおられるかもしれません。スマホが普及してから今まで、家族でルールを作り上手に使えるように子どもを教育しようとしてきましたが、ルールを守っていても、動画やSNSを見ると前頭前野の血流が低下し悪影響があることが分かってきましたし、依存症や発達の障害になってしまうと治療は大変です。このため海外では、子どものデジタル使用自体を制限する必要があると考えるようになったのです。

 学校でタブレットの教科書を先進的に導入したスウェーデンは、紙の教科書に戻すことを決定しました。森の中で友達と交流して創造性のある教育をするつもりだったところが、タブレットを持っていくと子どもたちは森に興味を失い、友達とも交流しなくなり、成績が下がってしまう子もいたそうです。オーストラリアでは16歳未満のSNSやYouTubeの使用を禁止する法律ができ、校則でスマホの所有を禁止する学校も出てきました。

 日本ではまだ規制がないので、それぞれの家庭で作戦を考えなければなりません。スマホやゲームを小学生のうちからは持たせたくないというご家庭もあると思います。実際、総務省の新しいデータでは、子どもにネットを見せないという親の割合が増えていました。スマホを持たせるのを遅らせるには、親同士で協力することが大切です。

「子どもの意見を聞く」のは大事ですが、「子どもの希望を最優先する」こととは違います。

 成長途中の脳を守るには、デジタルの悪影響を十分に知らない子どもに代わって保護者が判断しなければなりません。嵐の中を船が進むとき船長は船の操縦を未熟な船員にまかせることはありません。また子どもは「大きな声でしつこく言えば、親は言うことをきく」という経験を繰り返せば、思いどおりにならないと「大声を出せば自分の好きなようにできる」と学習してしまいます。その結果、社会に出てからの人間関係にも困難を抱えるようになってしまいます。

 保護者自身のデジタル使用について振り返ることも必要です。ある調査では、子どものメディアの使用が長いことと、母親・父親のネット使用時間が長いことは関連がありました。

 今回の記事が、保護者の皆さんの子どもたちの成長を守るための行動の選択に、少しでもお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考情報:
* J・ウイルコックス、EA・ジェンキンス、T・シーリー著、三条匠、中谷陽輔訳
 「リスニングスペース 動機づけ子育てによる親子関係強化のためのガイド」
** 学校のタブレットの持ち帰りにより子どもの学習が阻害されている場合、合理的配慮を要請し、タブレットを学校に返して宿題は紙にしたり、調べ学習は学校で行ったりすることができます。

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