2.もし子どもがLGBTQ+だったら②~性の多様性を知る~

令和7年5月28日

今回の記事では、性の多様性について紹介していきます。

onosensei 2kainezu.jpg

 

 

 

 

 

 

 

この図に書いている「5つの性」を使います。
「性自認」「性別表現」「生まれた時につけられた性別」「性的指向」「恋愛の指向」の5つです。

♢性自認
 「性自認」というのは、その人が自分の性別をどのように認識しているか/していないか、どんな性別だと見られたいか/見られたくないか、どの性別に所属意識があるか/ないかを表すものです。
 3本の矢印はそれぞれ、一番左側は「全く感じない」ということを表していて、右に行くほど、「強く、頻繁にそう感じる」ことを表します。

 つまりそれぞれの矢印は、上から「自分は女の子/女性だとどのぐらい感じるか/感じないか」「自分は男の子/男性だとどのぐらい感じるか/感じないか」「自分は女の子/女性でも男の子/男性でもないその他の性別だとどのぐらい感じるか/感じないか」を表す矢印です。
 もしかすると「その他の性別ってどんな感じかな?」「全然イメージわかないな」と思った人もいるかもしれません。そのように思った人は、今まで自分の中に「その他の性別」を感じたことがなかったり、「その他の性別」の人とたくさん話した経験がなかったりする人だと思います。今のところは「そういう性別もあるのだな」と知っておくだけで大丈夫です。
  性自認には様々なあり方があります。
例えば、
・とても強く自分は女性だと感じている人
・とても強く自分は男性だと感じている人
・とても強く自分は女でも男でもどちらでもない、その他の性別だと感じている人
・女だと思っているけれど、そんなに強く感じるわけではないから矢印で言うと半分ぐらいのところの人
・だいたいはこの性別というのがあって、他の性別も自分の中にあると感じる人
・どの性別も自分の中にあるけれど、感じる強さはそれぞれ違う人
・自分をどんな性別だと感じるかは、定まっておらず、揺れ動いている人
・性別がない人
・前と今とで性自認が変わった人
・どの性別も自分の中にない人
・性自認がわからない人
など、多様なあり方があります。

♢性別表現
 「性別表現」は、その人の性別を外見やふるまいなどの中でどのように表現するかということです。
 「外見」は、例えば髪型、服装、メイクなどです。「ふるまい」は、しぐさ、話し方、言葉づかい、座り方、立ち方、歩き方などです。それぞれの中には、いわゆる女性的だとされる表現や、いわゆる男性的だとされる表現がありますが、どのような表現が「女性的」または「男性的」だと認識されるのかは、時代、文化、地域によって違うことがあります。同じ集団の中でも、人によって受け取り方が違っていることもあります。
 これも3本の矢印を使って考えていきます。矢印はそれぞれ、いわゆる女性的とされる表現がどのぐらいあるか/ないか、いわゆる男性的とされる表現がどのぐらいあるか/ないか、そして、女性と男性以外のその他の性別的とされる表現がどのぐらいあるか/ないかを表します。 
 性別表現のあり方もとても多様です。
例えば、
・とても女性的な表現の人
・とても男性的な表現の人
・男性的とされる表現だけど、そんなにすごく男らしくするのが好きなわけではないから矢印で表すと半分ぐらいの人
・だいたい女性的な表現だけど、他の性別っぽい表現もある人
・服装や振る舞いのそれぞれで、まぜこぜな表現をしている人
・場面や一緒にいる相手によって違う表現をする人
・以前の表現と比べて今の表現は変わったという人
・自分がどのような表現をしたいのかわからない人
など、多様なあり方があります。

♢生まれた時につけられた性別
 生まれた時につけられた性別は、生まれてすぐ性器の形などで判断してつけられた性別のことで「女性」とつけられる人もいれば、「男性」とつけられる人もいます。

♢性的指向、恋愛の指向
 性的指向はどのような性別の人に、性的な魅力をどのぐらい感じるか/感じないかを表します。
 恋愛の指向は、恋愛感情につながる魅力をどのような性別の人にどのぐらい感じるか/感じないかを表します。
 これもそれぞれ、3本の矢印で考えていきます。矢印はそれぞれの性別に、どのぐらい魅力を感じるか/感じないかを表します。
 性的指向、恋愛の指向のあり方も多様です。
例えば、
・女性にだけ強く魅力を感じる人
・男性にだけ魅力を感じる人
・一つの性別にだけ魅力を感じて、恋愛や性的なことには、そこまで興味やエネルギーがないから矢印に印をつけるなら半分のところにつけるという人
・女性にも男性にも魅力を感じる人
・全ての性別に魅力を感じる人
・自分にとって誰かに魅力を感じる時に相手の性別はあまり関係ないという人
・全ての性別に魅力を感じ、それぞれの性別に魅力と感じる強さや頻度は違うという人
・誰かに性的な魅力を感じたり、恋愛感情を持ったりすることはほとんどなく、少しだけ魅力を感じることがあるという人
・恋愛感情は持つことがあって、性的なことを誰かとしたいとは思わないという人
・性的指向と恋愛の指向の魅力の感じ方が同じ人
・性的指向と恋愛の指向の魅力の感じ方がそれぞれちがっている人
・誰にも性的な魅力を感じることはないし、恋愛感情をもつこともないという人
・誰かに魅力を感じることがあるのか、どんな性別の人に魅力を感じるのか、わからないという人

♢性のあり方の名前
 性のあり方はとても多様で一人一人が少しずつ違っているようなものです。その中で、同じような性のあり方の人がある程度いると、その性のあり方に名前がついたり、その人たちが名乗り始めたりすることがあります。名前のない性のあり方もあります。
 ここからは性のあり方についている名前をいくつか紹介していきます。

【性自認に関する多様性】
 トランスジェンダー:性自認が生まれた時につけられた性別とちがう人
 Xジェンダー、ノンバイナリー:性自認を女性/男性のどちらかとは認識していない人
 シスジェンダー:性自認が生まれた時につけられた性別と同じ人

【性的指向、恋愛の指向に関する多様性】
 レズビアン:性自認が女性、または女性に繋がりを感じる人で、女性に魅力を感じる人
 ゲイ:性自認が男性、または男性に繋がりを感じる人で、男性に魅力を感じる人
 バイセクシュアル:二つ、または二つ以上の性別に魅力を感じる人
 パンセクシュアル:すべての性別に魅力を感じる人や、魅力を感じる時に性別は関係ないという人
 アロマンティック:誰にも恋愛につながる魅力を感じない、またはほとんど魅力を感じない人
 アセクシュアル:誰にも性的魅力を感じない、またはほとんど魅力を感じない人
 ヘテロセクシュアル:「異性」にだけ魅力を感じる人

【その他の名前】
 クエスチョニング:自分の性的指向や恋愛の指向、性自認がわからない、または考え中という人

 性のあり方はとても多様で、この記事で紹介した以外にも様々なあり方があります。
 今ある名前の中で自分の性のあり方があてはまるものがすぐに見つかる人もいれば、見つからない人もいます。自分の性のあり方の名前を見つけたい人もいれば、名前を特に必要としない人もいます。自分の性のあり方に名前をつける必要は必ずしもありませんが、名前を見つけられたらいいとか、名前がないと落ち着かないとか不便だという人もいると思います。そのような人には、関連する書籍もたくさんありますので、自分に合う一冊を見つけてみることをおすすめします。

< 前の記事     一覧へ     後の記事 >
社教センター公式Facebook 社教センター公式X(旧Twitter) 社教センター公式Instagram