西 福江 先生

~知育 体育 徳育 その前に食育~第4回

平成22年8月2日

毎日、暑い日が続いていますね。学校も夏休みに入り子ども達も夏ならではの体験にワクワク、ドキドキしていることでしょう。
保育園は働くお父さん、お母さんを支える所ですので夏休みはありません。0歳~5歳までの子ども達が暑さに負けず、プールで水遊びしたり、セミとりしたり、パワー全開で生活しています。
とはいえ、この酷暑の中、子ども達の体調の管理はとても大切なことです。身近なものを使って家庭でも実践できる生活の知恵をいくつかご紹介したいと思います。

10時のおやつに子ども達は梅干しと天然醸造の醤油を同量よく合わせたものに3年番茶を注いだ梅醤番茶を毎日飲んでいます。これは、血液をサラサラにし体調を整えるお手伝いをするそうです。さらに殺菌効果にもすぐれている飲み物です。お母さん方に試飲していただくと「とても飲みやすく、元気が出る飲み物ですね!」との感想をいただいております。
夏の暑さに汗をたくさんかき、疲れがちの時などにおすすめです。濃さはその人が飲んでおいしい濃さに調節してください。子ども達には薄味で出しています。

夏のあそびの代表であるプールや沐浴の時は、干して乾燥させたどくだみやよもぎを煎じた特性の入浴剤を入れています。どくだみやよもぎは昔からお茶にして飲んだり、化粧品になったり、とても肌に良いことは伝えられています。あせもやおむつかぶれの予防に最適です。又、香りもよくとても落ち着いた気分になれるようです。ちなみに、保育園で使うどくだみやよもぎは、園児のおじいちゃん・おばあちゃん方が大事に心を込めて干して乾燥してくださったものを送ってくださいます。そのお気持ちを胸に、日々使わせていただいています。

それでも、この暑さの中、体調を崩す子もいます。年齢が小さければ小さい程、体温調節機能が未熟です。熱が身体の中にこもって38~39度の発熱をすることもあります。そういう時は先ほどの梅醤番茶ともうひとつ、キャベツの葉の出番です。キャベツの葉は熱を吸収する働きがあり、ヨーロッパでも古くから解熱効果があると伝えられてきたそうです。キャベツの葉を子どもの頭に乗せ三角巾で覆ってあげ涼しい所に寝かせてあげると、熱が下がることもしばしばです。0歳の赤ちゃんでも気持ちが良いようで、はずそうとしません。

人間は本来自分の力で身体を整える力を持っているはずです。子どもの育つ力は、しっかり汗をかいて身体を動かしてあそぶ、安全・安心な食事を感謝してよく噛んでいただく、ぐっすりと良い睡眠をとる、このことが基本にあると思います。
私達、保育に携わるものや、周りの大人達が何をどのように選んであげるか、選択の責任を考え、次の世代に良い社会をバトンタッチしなければと思います。

~知育 体育 徳育 その前に食育~ 第3回

平成22年7月13日

毎日、蒸し暑い日が続き、梅雨明けが待ちどおしいですね。
“梅雨”読んで字のごとく“うめのあめ”です。梅干しを漬ける時期ですね!
4,5歳児の子が爪楊枝で梅のヘタとりをし、塩漬けをします。一週間程して、梅酢が出てきた頃、赤紫蘇が店頭に並び始めます。
紫蘇を塩で揉んでぎゅっと搾ると黒いアクがでてきます。この時はまだ揉んだ紫蘇の色も黒く香りもまだまだです。
もう一回塩で揉んでアクを絞り、いよいよ梅酢の中に入れます。入れた途端、透明な梅酢があっという間に鮮やかな紅色に変わります。
この時、子ども達からは「わあーきれいー」「色が変わった」「いい香りがする」等、驚きと喜びの声が聞こえます。
みんなで漬けた梅干しはおにぎりの具になったり、うどんに入れたり、野菜の梅肉和えにも、一年中給食の中に登場します。

何でもお金を出したら簡単に手に入る現代、子ども達は梅干しをはじめとする様々なものが作られる過程、材料等を知らされているでしょうか?
又、お母さん方はスーパーで買ったもののラベルを見ると、本来必要のない添加物等が入っていることを知っているでしょうか?

私達の住んでいる日本は島国です。高温多湿で四季があります。先祖はその自然環境の中で様々な食品を作り上げてきました。その代表的なものが、みそ、醤油、酢、酒、漬物などの発酵食品であり、その中でも最強のアルカリ性食品が梅干しです。昔から、家族で親戚で地域でそれらの食品を作り、次の世代に伝えてきました。
自分たちで梅干を漬けることで本物の味覚を摺り込ませると同時に、本来食べるものは、自分で作るもの、作ったものは、何がどの位入っているか、どのように作ったかということを子どもたちに分かってもらうことができます。
体験したことしか身につきませんし、伝えられません。昔の人の智惠、世界に誇る健康食の和食を伝えていきたいと思います。

高取保育園では、梅干しの他に、給食で毎日出される味噌汁には5歳児が毎月100キロ手作りしている合わせ味噌を使います。味噌は“医者殺し”と言われるほど、一日一椀の味噌汁を食べることで健康になると言われています。年に1回は保育園を解放して、保護者、地域の方、誰でも参加できる」味噌作りの日を20数年前から実践しています。この日は家族総出で家庭で使う1年分の味噌を作り、大事そうに出来上がった味噌を笑顔で持って帰られます。又、季節に応じて、らっきょう漬け、たくあん漬け、たかな漬け、干し柿作り等、子ども達と一緒に楽しく作って、おいしく食べています。

~知育 体育 徳育 その前に食育~ 第2回

平成22年6月1日

4月5月 2ヶ月が過ぎ、新入園児の子ども達も保育園での生活も慣れ、毎日元気に遊んでいます。
お父さん、お母さんと別れるときも、泣かずに「バイバイ」と手を振る子ども達の様子に安心し、たくましさも感じていらっしゃるようです。

前回は高取保育園の食の基本についてお話させていただきました。今回は母乳や離乳食について少し触れてみたいと思います。
保育園は生後3ヶ月から就学前の子ども達が日々生活する場所です。特に第1子のお子さんを産休明け、育児休業明けであずけに来られるお父さん、お母さんは不安で一杯です。
なかには「家庭ではおっぱい大好きで哺乳瓶の乳首を嫌がります」「保育園に預けるのでミルクの練習をします」等思い悩んでいらっしゃるようです。
安定した人間関係を作り出す第一歩は抱きしめられているお母さんの鼓動、肌の温もり、優しい声かけに包まれることです。
人は哺乳動物です。人はひとのおっぱいで育てて欲しいと思います。子どもにとって、栄養面、精神面、免疫たっぷりの母乳で子育てしているお母さんたちを応援しています。

母乳の次に赤ちゃんの口に入るものが離乳食です。高取保育園では、離乳食から生命力あふれる玄米を使っています。当然、まだ歯も生えていない赤ちゃんですから、玄米クリーム(玄米を炒って10倍の水で煮、すりつぶした後、木綿の袋に入れてエキスを搾り出したもの)から始め、月齢や食べ方、便の具合を確かめながら固さを調節していきます。又、旬の無農薬・低農薬・有機栽培の野菜そのものの味を充分舌に摺り込んであげたいと思っています。

基本としていることは以下のことです。

1、離乳開始から生きた食べ物である玄米を使用する。
2、和食中心で味付けは薄味、旬の野菜をふんだんに使用する。
3、タンパク質は消化吸収がやさしい植物性タンパク質から摂取する。
4、砂糖は使わず、だしを効かせたり、甘味を引き出す調理法を工夫する。
5、手作りの味を大切にし、加工食品は使用しない。
6、自分で食べようという意欲を大切にする。

本当に身体がよろこぶ食べ物、元気になる生活ってなんだろう?と思う日々が続いています。

~知育 体育 徳育 その前に食育~ 第1回

平成22年 5月10日

はじめまして、福岡市早良区にあります高取保育園の園長 西 福江です。
保育園では日々0歳から就学前の223名の子ども達が半袖、半ズボン、裸足で元気に過ごしています。
思い切り身体を動かして、おなかを空かして食べる給食は旬の野菜をふんだんに使った玄米和食です。
子どもの健康な心と身体は毎日の食生活の積み重ねから作られてきます。何をどのように食べるか、食べさせるかが食育の第一歩だと考えます。
給食には旬の素材を豊かに取り入れ、5歳児年長組の子ども達が毎月手作りしている味噌を使った味噌汁。発酵食品の納豆が毎日の食卓にのぼります。

高取保育園が食事について基本としてきたことを次の6点にまとめてみました。

1、伝統の食べ物(身土不二)を摂る
先祖伝来の食べ物、日本の季節、風土によくあったものを食べる。
2、季節のものを摂る
旬の物を食べるのが一番。自然は、冬は体を温め、夏は体を冷やす食べ物を与えてくれる。
3、主食は玄米
国内産の穀物(米、麦、粟、ひえ、きびなど)を摂る。
4、一物全体(丸ごと食べる)
魚なら頭からしっぽまで、野菜は根も葉も丸ごと食べる。皮を捨てず、あく抜き、湯でこぼしせず料理する。
5、正しい食べ方
腹八分目で、一口60回~100回かむこと。
6、感謝の心で頂く

少し振り返ってみると、一昔前 あたり前のように日本人が行っていたことばかりだと思いませんか?
人間は学習する動物です。祖父母、父母に育ててもらったように子育てをしようとします。そこに、便利なものがあったり、情報がたくさんあふれていたりすると手間ひまをはぶいてしまいそうになります。
我が子を育てる時に、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんから何をしてもらったか思い出してみてください。
きっと手作りのおいしい料理の味、家族で囲んだ食卓のあたたかさを思い出すのではないでしょうか?