岩下 泰子 先生

~子育ては親子共育~第6回 お友だちと仲よく遊びたいなあ~

平成21年4月8日

子どもは遊びの中で育ちます。子どもの遊びとは、誰からも知られず、子ども自らが楽しさを求めていくのが遊びです。ほかの子どもと自分の子どもを比べなくていいのです。大切なのは、子どもを立派に育てたいと思う親であるなら、子どもは遊びやけんかを通して人間らしく成長していきます。遊びの中には人になれる力と人と仲よくする力が備わっています。

・傍観遊び(2才)…ほかの子どもの遊びの様子をじっと見ている。
・けんか遊び(3~4才)
・連合遊び(4~5才)…お互いの道具を貸し借りして遊ぶ。
・協力遊び(5~6才)…友だちを協力して一つのものを作れるようになる。

これで遊びが一応完成したことになります。ものすごい成長ですね。

6才で人格の80%が形成すると言われます。幼児期に、人間らしくなるために必要な事柄を、日常生活の中で伝えていくことが重要だと思います。
その一例として、私の二女のことをお話します。人の命の尊さを、花を通して学んでほしいと思い、生後半年ぐらいから、草花を見るたびに「お花きれいね。のりちゃんの心のようにきれいね。」と、いつも言ってました。2才すぎた頃から、摘んでいい花、摘んでいけない花を教えました。また、幼稚園が自宅から徒歩20分の道のりなので、なるべく歩いて送り迎えをしました。道の草花が目につき、二女は草花を摘むのが楽しみになり、行きは先生・友だちに、帰りは私に「だいじにしてね。」とくれ、二年間も続きました。
ある日お店に花苗を買いに行った時、きれいな花苗には目もくれず、店の片隅に花も終わり元気のない苗を見つけた二女は、店員さんに「おばちゃん、あのお花、かわいそうよ。」と言いました。「あの花、もうすぐ捨てるのよ…。」と聞くと、二女は私の前で泣きだし「お母さん、あのお花が死んでしまう、助けてあげて。」と訴えるのです。私は二女の手をひいて店員さんに頼み、苗を譲ってもらいました。庭に植え、光と水と肥料が必要な事を教えると、早起きが苦手だった二女は早く起きるようになりました。「花さん元気になってね。のどがかわいたでしょう。」と水をやり、しばらくたった頃、黄色のパンジーの花が咲きました。その時の喜びは今でも親子そろって忘れません。
子育ては、10年20年後に結果が出ると言われます。人間の子どもは、人間社会の中で人間によって人間らしくそだてられなければ、人間にはならないのです。ここに幼児教育の必要性があると私は思います。
ありがとうございました。岩下泰子

~子育ては親子共育~第5回 ママ子育てにちょっと疲れていませんか?~

平成21年3月10日

 子育てに毎日頑張ってある事でしょう。頑張っているのに、回りの人はなかなか認めてくれませんね。
私も悔しい思いを何度もしたことがありました。でも大丈夫ですよ。自分で自分を誉めてあげましょう。たまには、自分にごほうびとして、ケーキを子どもが寝ている時に食べました。やってみませんか!

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 社会生活に適応する為の良い習慣をしつけと言います。「目を離さない」「手を出さない」と言いますが、親は自分がやったほうが早いので、つい手を出してしまいがちですが、子どもの将来を考えると「自分の事は自分でする」「自分のした行動の責任は自分でとる」事のできる子どもに育てたいですね。
 親はきびしい心をもって子どもをしつけることが必要ですが、「しつけ」と言って子どもをなぐり、ごはんを何日も食べさせないのは、絶対してはいけません。
 それは、しつけではなく虐待です。子どもをしつける厳しさの中に愛情がなければなりません。

 2才すぎから特に「排せつ」「睡眠」「食事」「着衣」「清潔」の五つの基本的習慣はしっかりとみにつけさせましょう。幼児前期は人を恨むことを知りませんので、ちょっときびしくしても大丈夫ですよ。
「排せつ」の例です。「おしっこ」も「うんち」も同時期におむつを取る事をおすすめします。季節も関係しますので、春から秋が適する(特に夏がいい)と思います。パンツも数多く用意した方がいいです。数が少なくなると、ママはおこりませんか?「ママはトイレに行きたいからついてきてね。」「トイレの前で待っててね。」と言っても、一緒に入るという場合一緒に入ってください。用をたしてください。(3才までは記憶に残らないから大丈夫)「ぼくもする。」と言ったら便器に座らして、おしっこが出なくても「よくできたね。」とほめて、これをくり返すうちにできるようになります。
 ママと一緒が大好きなのです。おもらししても、しからないで下さい。その方が早く取れますよ。
幼児期のしつけは、こどもによく言って聞かせたり教えてやって納得させるが効果的ですよ。岩下泰子

~子育ては親子共育~第4回―「いや」「いや」「いや」の時がやってきました―

平成21年2月2日

2才半頃から4才ぐらいまでに反抗現象が現れます。親と子どもの最初の危機とも言われますが、それは子どもの心に自分の思い通りに、食べたい、飲みたい、遊びたいと「本能我」が目覚めてきたからです。反抗は「本能我の目覚め」で心の成長は順調なのだと、まず喜びましょう。そして、できるだけ子どもの希望通りに、させてあげたいものです。その為には、危ない物、さわってほしくない物など手の届く所に置かないようにしましょう。

【例】 ゆう君の家で隣のおばちゃんとママは話していました。その時ゆう君は「ママお菓子食べたい。」と何度も言います。ママは「今だけよ。」と言って許しました。おいしそうに食べ、おばちゃんが帰った後、ママは「人の弱みにつけこんで。」と言って叱り、ゆう君は意味もわからず大声で泣き続けました。
こんな時はママは「お菓子を食べていい。」と聞いた時「今は、おやつの時間じゃないから駄目よ。ゆう君は我慢できるもんね。おりこうさんだもんね。」などと言って、駄目を通して下さい。
私がよく言ってた言葉に「ママも食べたいけどママと一緒に我慢しようね。」お客さんが帰った後 「よく我慢できたね。ママゆう君が大好き。」と言って抱きしめてあげましょう。認めてあげると欲求不満に耐える力が身につきます。
親は、子どもの身体の成長は、大変喜びますが、心の成長は時として、反抗と言う態度が見えると、その成長を喜ぶどころか、抑えつけようとしますが、乗り越えさせることが大切ですね。

「あかちゃんにかえりたい」退行現象も現れます。下に赤ちゃんが、生まれた時などに起こります。
親の愛情が赤ちゃんに移ったと思い、さびしくなり、かまってもらいたくて、哺乳ビンを口にしたり、おむつをつけたがったり、甘えたりします。下の子を、たたいたりする場合があります。
「ゆう君が赤ちゃんの時も、とってもかわいかったの。大事に大事にしたのよ。」と親と一緒に赤ちゃんを見守ると心は穏やかになり、退行現象が消えていくのです。十分な愛情を与えましょう。 岩下泰子

~子育ては親子共育~第3回 「パパ」「ママ」じぶんのことはじぶんでしたいの!

平成21年1月8日

あけましておめでとうございます
今年もどうぞよろしくお願い致します

 1才頃になりますと大きな「三つ」の変化が出はじめ自立への第1歩を踏み出すようになります。すごいですね。

 一番目に自分で動きまわれるようになります。自分で立って好きな所に歩いていけるようになりますし、また転んで立ちあがり歩くこのチャレンジ精神素晴らしいですね。この頃から親の過保護がはじまることが多いのです。「保護」は親として当然のことなのですが「過保護」は子どもの成長をさまたげます。「転んでも起こさない」が教育の原点と言われます。子どもが転んで泣いたとしても「いたかったね。だいじょうぶ?一人で起きれるよね。起きてみようか」などやさしい言葉をかけ、励まして、一人で立つのを待つことが大切だと思います。でも危ない場所では、すぐ起こしてあげてください。

 二番目に離乳食が始まり、ママが作ってくれた色々な食べ物を自分で口にすることができるようになりますし、もう一つ離乳によって依頼心を取りのぞく大切な意味があると思います。「あーんマンマですよ」とスプーンで食べさせてあげる時から自分でスプーンを持ちたがり、手づかみでいっぱいこぼしながら、頑張って食べます。ここはママはちょっと我慢して「おいしいねいっぱい食べてね」「おごちそうさま」と言ってあげると、こどもは満足です。「またこぼして、だめじゃないの」などと言ってませんか?この頃は、しかるには、まだ早いのです。少しずつ上手になります。

 三番目は「マンマ」「ママ」「パパ」など言葉を覚えるようになります。私の長男は「ママ」より「マンマ」が早かったので「私がママよ」「私がママよ」と何度も言い聞かせたことを思い出しました。言いすぎたと思いますが「ママ」と言ってくれた時はうれしくて「はい、ありがとう」と言わずにおれなくて、ホッぺにキスしたことをきのうの出来事のように覚えています。 岩下泰子

~子育ては親子共育~第2回 ママのひとり言がとっても大切

平成20年12月1日

生後一年ぐらい迄を乳児期と言います。赤ちゃんがすばらしい大人になるための基礎づくりの時期で、人に対する信頼感を育てる事が大切です。親、特にママは赤ちゃんの情緒の安定、発達に心がけましょう。

赤ちゃんは、自分の思いを伝えるため一生懸命色々な泣き方をして伝えようとします。手足をこわばらせて、カン高い声で泣くのは驚いたときの泣き方です。「ママがいるから、もうだいじょうぶよ。」と言って、しっかりと抱きしめて落ちつかせてあげましょう。激しく両足を縮めて泣いた声に力がこもっているのは、苦痛の訴えです。こんな時は、赤ちゃんが嘔吐しているのではないか、虫が刺したのではないかなど、調べて下さいね。おっぱいが欲しいと泣いた時、「生きるための栄養を与えるんだ。」という気持ちだけではなく、赤ちゃんの目を見て「さあ、おなかすいたでしょう。いっぱい飲んで大きくなってね。素直でやさしい人になってね。」と、母の命を与え、飲み終わったら「ありがとう。」「おごちそうさま。」と、赤ちゃんのかわりにお礼のことばを口にし、感謝の心を育てていきましょう。

「わが子の一生は親の愛情の注ぎ方で決まる。」と言われますが、この時期は、特に必要な時期です。「抱き癖がつく」と言って、しばらく泣かせるママがいますが、これは良くありません。まずやさしく「ママですよ。どうしたの。」と言って、抱いて安心させてあげましょう。赤ちゃんは、三ヶ月近くになると笑いの表情を浮かべるようになるので、ママは、どんな時でもにこにこ顔で接し話しかけてあげることで、赤ちゃんは表現の仕方をまねて、ほほえみ、にっこりと笑いを返してくれるようになります。私も思い出します。朝起きたら、「おはよう、ゆうちゃん。今日もにこにこしてくれてありがとう。ママも元気よ。」「パパお仕事に行かれるから、行ってらっしゃいしましょうね。」「パパは、ゆうちゃんのにこにこ顔を見て、一生懸命仕事してくると嬉しそうに行かれましたよ。えらいパパですネ。」など…。 岩下 泰子

~子育ては親子共育~第1回 家庭教育はすべての教育の基礎です

平成20年11月6日

 家庭で親がしないといけない教育の目標は、情的能力 意的能力 知的能力のバランスのとれた豊かな人間として、喜んで社会に貢献できるような子どもに育つよう努力するところにあります。
 
幼児教育はなぜ大切でしょうか?
幼児前期0才~3才 幼児後期4才~6才
  昔から三つ子の魂百までもと言われますが、生まれて3才ぐらいまでが人格形成の上で最も大切な時期なのです。「どうすれば良い子に育ってくれるかしら」と思う前に「子どもにはこんな人になってもらいたい」と願うモデルに親自身が近付く様努力するしかないのです。

「百聞く言葉より一つの実行」 
  いっぱい良い話しを聞いても聞くだけでは良くならないのです。今、自分にできる事から一つずつ行動に移していく事が大切です。幼児期は情的能力が最も伸びる時期です。親は愛情を持って心を育てるための愛情豊かな生活をし、子どもは愛されることによって他を愛する心が育まれていきます。愛の芽を十分に伸ばしてあげるには、親の感情移入で行う事がきわめて大切です(感化の教育)。「ママはあなたが大すきよ。」「このお花さんきれいね。」「あなたの心のようにきれいよ。」
  ママと3才ぐらいの男の子が散歩中、トンボが道に死んでいました。ママは「さわっちゃだめ。」と言って、足でトンボをけったのです。それを見た子どもの心はどうでしょうか? 心を育てるには「トンボさん悪い物でも食べたのかな?かわいそうね。」お墓を作ってあげ、手を合わせる姿を見せてあげる事でやさしい心が育つでしょう。

よい子が育つ三点セット
○やさしいまなざし
○やさしいかたりかけ
○あったかい肌のぬくもり(スキンシップ)

  この三点は最低一日二回以上はやってもらいたいものです。子育てに手遅れはありません。親の反省がスタートです。(参照:「より良き親子関係を求めて」川越 淑江) 岩下 泰子